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[選手権]終盤意地の2発、滝二笑顔で全国去る(滝川二vs鹿児島城西)

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[1.5 第87回全国高校サッカー選手権大会準々決勝 滝川二(兵庫) 2-6 鹿児島城西(鹿児島) 三ッ沢]

 後半19分、鹿児島城西のMF平原慎也(2年)がこの日2点目のゴール。この時点でスコアボードに示されていたスコアは「0-6」。心折れそうな展開だったが、滝川二(兵庫)に試合を投げ出した選手はひとりもいなかった。25分、左サイドでDF中村勇紀(2年)からのパスを受けたMF吉澤春風(2年)がゴールライン際を鮮やかなドリブルで駆け抜けると、中央に送られたラストパスに体ごと飛び込んだ矢野亮(2年)が意地の一撃を決める。
 わき上がるスタンド。大量リードでややプレスが甘い鹿児島城西に対し、失うもののない滝川二は一気に攻勢に出た。的確なボール回しからサイドを破りゴール前へ。すると31分にはFW時本寛史(2年)の左クロスをチーム一小柄な158cmのMF大村亮平(2年)がバックヘッドでゴールを決めて2-6。このあとスコアを変えることはできなかったが、滝川二が見せた最後まで戦い抜く姿勢には応援団ではない一般の観客からも拍手が巻き起こった。
 
 栫裕保監督が「強烈だった」と振り返った鹿児島城西FW大迫勇也(3年)らのラッシュを耐えきれず、前半から失点を重ねてしまった。一時は“まさか”の6点差。ただ2点を返した後半に関しては「ウチのパスサッカーをすることができた収穫はありました」と納得の表情を見せた。DF中西孝裕主将(3年)も「最後まであきらめない僕等のサッカーを見せられた。どんな状況でも笑顔で戦う僕等らしいサッカーができた。後輩にも自分たちのサッカーを残すことができたし、見てる人にも『滝二いーな』と思わせるサッカーができたと思う」と胸を張った。
 06年度に全日本ユース選手権優勝も果たしている名門・滝川二にとって、このスコアは「屈辱的な完敗」だったかもしれない。だが、チームとしての“らしさ”は攻め勝った鹿児島城西同様、滝二も存分に出し切った試合だった。

<写真>後半25分、滝川二・矢野が「意地」のゴール
(取材・文 吉田太郎)

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