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[選手権]守備だけじゃない!新スタイル確立の広島皆実が初の決勝へ(広島皆実vs鹿島学園)

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[1.10 第87回全国高校サッカー選手権大会準決勝 広島皆実(広島)1-0鹿島学園(茨城) 埼玉]

 広島皆実(広島)が初の決勝、広島県勢としても40大会ぶりとなるファイナルへの切符を手にした。前半から終始、試合を支配。球際の強さと速いつぶしで鹿島学園(茨城)に攻撃の時間を与えず、素早い攻守の切り替えからチャンスを量産した。後半12分、DF村田俊介(3年)の右クロスからFW金島悠太(3年)が左足で押し込んだゴールが決勝点に。シュート数20対3の完勝で、鹿島学園をねじ伏せた。

 12日の決勝の相手は鹿児島城西(鹿児島)。準決勝までの5試合で27得点という爆発的な攻撃力で勝ち上がってきた。一方の広島皆実はここまで6得点ながら、失点も2回戦の徳島商戦(2-1)で喫した1点のみ。「攻撃」の鹿児島城西対「守備」の広島皆実という見方が一般的だが、広島皆実の監督、選手はこれを真っ向から否定した。

 藤井潔監督(35)は「サッカーには攻めと守りの両方がある。攻め対守りという構図はあり得ないと思う」と力を込め、DF松岡祐介主将(3年)も「守備だけじゃないのが今年のうちのチーム」と言い切った。

 チームのテーマは「堅守強攻」。昨夏の北京五輪でホッケーの女子日本代表を率いた恩田昌史監督が掲げたスローガンを藤井監督が取り入れたもので、伝統の堅守をベースにしながらも、リスクを冒すべき場面では思い切って攻めに出る新スタイルを確立させた。

 06年度大会では、1~3回戦まですべて0-0からのPK戦を制し、無得点のまま8強に進出するという“偉業”も果たした広島皆実だが、今大会は2回戦以降はすべて80分(準決勝は90分)で決着を付けてきた。「守りだけ」という殻を破り、着実に攻撃力も磨いてきたからこそ、初の決勝進出という新たな歴史の1ページを刻むことができたのだ。

 「攻撃でも相手を上回れるところを国立のピッチで見せたい」と松岡。自分たちの“進化”を証明する意味では、鹿児島城西は願ってもない格好の相手だ。

(取材・文 西山紘平)

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