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[選手権]鹿島学園「来年、国立の決勝へ」(広島皆実vs鹿島学園)

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[1.10 第87回全国高校サッカー選手権準決勝 広島皆実(広島) 1-0 鹿島学園(茨城) 埼玉]

 「このメンバーで帰ってくることはできないけど、この経験を活かしていつの日かこの舞台に帰って来たい」。鹿島学園の鈴木雅人監督は、開幕戦(08年12月30日)から5試合目の準決勝で敗れた広島皆実戦の試合後、新たな目標を立てた。
 野洲(滋賀)、大津(熊本)といった優勝候補を破り、初の4強へ進出してきたチームの勢いがついにストップした。風下で迎えた前半、相手のプレッシャーの速さを警戒したチームはシンプルに相手DFの裏のスペースを狙う攻撃を仕掛けたが、強風と相手DF陣の空中戦の強さの前に思いどおりの攻撃をすることができない。
 そして最も警戒していた相手のプレッシャーの速さは想像以上。前線、中盤、最終ラインと各局面で完全に劣勢に陥り、前半のシュート数は0-12。GK長峰大樹(3年)やDF杉下智哉(3年)の好守でゴールこそ許さなかったものの、相手に脅威を与えることもできなかった。
 後半も流れは変わらずゴールは遠いまま。12分に奪われた1点が最後までチームに重くのしかかった。25分に2試合連続ゴール中のFW忍穂井大樹(3年)のシュートがゴールを破ったが判定はオフサイド。その後相手守備網を崩す攻撃をすることができず、これまでの試合で見せてきたポゼッションの高いパスサッカーは最後まで見ることができなかった。

 今大会限りで現役でのサッカー人生を辞めて指導者の道を目指すことを決めている忍穂井は「全然満足していない。点を決めたかった。(現役最後の試合になったが)もっと真剣勝負をやりたいと思った」とがっくり。だが、「これからは指導者を目指してがんばっていきたい」と前を向いた。
 チームの全3本中2本のシュートを放った2年生FW三橋隼斗(2年)は「監督から言われたことが何もできなかった。撃ちたかったミドルシュートは撃ったけど。あそこで決めなければいけない。鹿児島城西の大迫さんのように上(Jリーグ)へ行く人はそういうところで決める人。数少ないチャンスを決められる選手になりたい。3年生からは来年オマエが引っ張っていけ、と言われた。来年も必ず来て(決勝の)国立へ行きたい」。
 今大会、チームの歴史を塗り替えた鹿島学園。今大会のラストゲームは満足のいくものではなかった。全国で勝つにはまだ足りないことがあることが分かった。茨城を代表するチームから全国を代表するチームへとなるため、鹿島学園は来年、反省を活かし、より強いチームとなって全国へ戻ってくる。

(取材・文 吉田太郎)

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