beacon

初主将の内田、大役全う

このエントリーをはてなブックマークに追加
[2.21 PSM 鹿島4-0水戸 カシマ]

 弱冠21歳の日本代表DFが名門の主将を努めた。水戸とのプレシーズンマッチ。選手入場でJ1王者・鹿島アントラーズの先頭でピッチに入ってきたのは日本代表・右SB内田篤人だった。その左腕には黄色いキャプテンマーク。やや緊張した面持ちで花束贈呈に臨んだ主将は、その後チームでは昨シーズン最終戦以来となる実戦で4-0快勝へと導き、大役を無事やり遂げた。

 試合直前にオズワルド・オリヴェイラ監督から「キャプテン」と指名されたと言う内田は「最初で最後。固定(でシーズン通して主将)だったら困る」と苦笑い。だが、「巻いた瞬間、結構緊張感あった」と気持ちの高ぶりを口にした。その言葉通り、右サイドからFWマルキーニョスとのパス交換で中央へ侵入し、再三右サイドでフリーランニングを繰り返すなど果敢にゴールを狙った。いいタイミングでボールが出てこなかったために得点に絡むことはなかったが、持ち味を発揮すると守備面でもゴール前での冷静なディフェンスで清水東高(清水)時代の2年先輩のFW荒田智之、MF菊岡拓朗ら水戸攻撃陣完封に貢献。チームも快勝し、交代制で主将マークをつけていた高校3年時以来となる主将の役割を全うした。

 内田を主将に任命した指揮官は「アツトの日々の努力に敬意を表して」と説明。だが、“今後は交代制で”と付け加え、21歳の主将は一旦「お役御免」となりそう。それでも内田のチームにおける存在感はプロ4年目となる今季さらに大きくなっている。チーム史上初の高卒新人開幕戦先発デビューした06年、不動のレギュラーとしてJ1と天皇杯の2冠を獲得した07年度。そして昨年は腰のケガなどで途中離脱しながらも、チームを再びJリーグ連覇へと導いた。今季はチームの先頭に立って引っ張っていく立場となった。
 日本代表でのW杯予選での戦いもあり、ハードなスケジュールが続くが、それは本人も自覚しており、「出れる試合は全部出たい」と全試合出場宣言。この日視察のために会場を訪れた日本代表・岡田武史監督に「髪を切れ」と指摘され「切ります」とやや俯きながらつぶやいた背番号2だったが、今季の目標に掲げている「3連覇とACL優勝」をまっすぐとした視線で誓っていた。

(取材・文 吉田太郎)

TOP