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迫力に欠けたG大阪、3バックで弱点露呈

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[2.28 ゼロックス杯 鹿島3-0G大阪 国立]

 怪我人続出の08年天皇杯王者・ガンバ大阪が、リーグ王者の鹿島アントラーズに0-3で完敗を喫した。右SB加地亮を怪我で欠いたガンバは右から中澤聡太山口智高木和道の3バックで臨んだが、不慣れなシステムの為か、鹿島に散々サイドのスペースを狙われた。

 その"弱点"を露呈したのは開始間もない前半6分だった。FW興梠慎三らの機敏な動きに翻弄されCKを与えると、そのCKから岩政大樹が繋ぎ、興梠にボレーを蹴り込まれた。同14分には左サイドを崩される。後方からオーバーラップしてきた新井場徹が興梠からボールを受けるとすかさずクロス。ラストパスをマルキーニョスに叩き込まれた。「CBがもっと球際に激しく詰めて、DFもMFもサイドをもっと絞る必要があった」と試合後に反省した山口智だったが、後悔先に立たず。3点目の悪夢が忍び寄っていた。次に狙われたのは右サイド。中央のダニーロのスルーパスに抜け出した興梠がマイナス気味に折り返すと、今度は走り込んだ野沢拓也に決められ、前半39分で3点のビハインドを負った。敵の穴をことごとく突いてくる鹿島の前に、ガンバの守備は完全に破綻していた。挙句の果てに山口は、3得点に絡んだ興梠に「4バックの方が強いッスよ」と試合中に話しかけられる始末だった。

 「ハーフタイムには久々に選手に不満をぶちまけた」と西野朗監督。山口と中澤、高木、GK藤ヶ谷陽介は、監督から名指しで注意を受けた。「数が足りている場面での失点。守備が甘い。もっと人に対して強く行け」。後半は中澤、高木をベンチに下げパク・ドンヒョクを投入。最終ラインを右から橋本英郎、パク、山口、安田理大の4バックに変更。後半は得点を奪えなかったものの安定した守備を見せ、後ろを安定させたことで攻撃も前半より活性化された。しかし、この日はFW播戸竜二が天皇杯決勝戦(vs柏レイソル)で決勝ゴールを決めたような"迫力"が欠けていた。クラブW杯でマンチェスター・ユナイテッドから3点奪取した"とるんだ"、"勝つんだ"という気迫が、最後まで伝わってこなかった。

 試合後、選手たちは肩を落とした。加入したての高木は「今日は激しさが足りなかった。でもシーズン前にこういう試合を経験できたのは良かった」。MF遠藤保仁も「後半は"らしさ"を取り戻してはいたが、前半ドタバタしているうちにやられた。裏もとられて形を作れなかった」。主将の山口は責任を感じていた。「自分らの責任。でも結果にとらわれ過ぎても良くないから、ガンバスタイルのサッカーをしっかりイメージして、あと1週間チームを立て直したい」。
 
 まだ開幕戦まで1週間ある。今日明らかになった弱みや足りない点を一つひとつ潰して、少しずつチーム状態を上げていけば良い。ノッた時のガンバは強い。それは昨年シーズンの活躍を振り返れば、分かっていること。強く楽しいガンバサッカーを期待しているファンに、"ガンバここにあり"というところを見せつけてほしい。

<写真>鹿島FW興梠と激突するG大阪DF山口
(取材・文 山口雄人)

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