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引き分け発進の川崎F、今後のカギは「焦れずに戦えるか」

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[3.7 J1第1節 川崎F 1-1 柏 等々力]

 「ウチとしては厳しい試合だったと思う」。練習わずか1週間で臨んだ右SBで後半38分までプレーした山岸智が、苦い表情で振り返った。体調不良で辞任した昨年4月以来となる現場復帰を果たした関塚隆監督の下、白星スタートを狙った川崎フロンターレだったが、シュート20本を放ちながらも勝ちきれず、1-1で引き分けた。
 山岸を右SB、左SBに伊藤宏樹、CBに井川祐輔と日本代表DF寺田周平を起用する4-3-3システム。最終ラインの組み換えは前半リズムの悪かったチームに少なからず影響を与えていた。山岸と井川の連係を欠くなどボールを奪える位置で奪えず。加えて昨シーズンリーグ最多の65得点をマークしている攻撃陣の得点力を警戒した相手守備陣に守りを固められ、なかなか突破口を見出せない。そして単発な攻撃とこの日あまりにも多かったパスミスが、相手のカウンター攻撃へとつながった。
 北朝鮮代表FW鄭大世とFWジュニーニョらブラジル人アタッカートリオはその存在だけでも強力。だがこの日は前線の選手間の連係も悪く、鄭も「エンジンがかかるのが遅かった。相手のペースというわけではなかったけど、停滞してしまった」と悔しがる。後半5分の失点後、相手が逃げ切りを図るためにやや守りを固めたところを見逃さずに攻勢に出た川崎Fは、後半32分に同点。ただ、その後ジュニーニョ、鄭、伊藤が決定的なシュートを放つなど勝ち越しゴールを目指しながらもシュートの精度を欠くなど勝ち越せず、スタジアムは何度もため息に包まれた。
 試合終盤は相手をゴール前に釘付けにして攻め続けたが、勝ち越すには時間がやや足りなかった。鄭は「戻ってきた関さん(関塚監督)に恩返しがしたかったけど。(これからは)サポーターのため息を歓声に変えられるようにしていかないといけない」ときっぱり。また日本代表MF中村憲剛は「今日の柏みたいにしっかりと(守備)ブロックを作ってきた相手に対して、焦れずに戦うことが今年のテーマになる」。リーグ屈指の攻撃力を誇る川崎Fに対して、今後も守備を固めてくるチームが出てくることが予想される。柏戦の反省を生かし、その中でもしっかり勝ちきることができるか。これは11日に初戦を迎えるアジア・チャンピオンズリーグにおいても浮沈のカギとなる。

(取材・文 吉田太郎)

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