beacon

[戦評]完成された鹿島、浦和には我慢が必要

このエントリーをはてなブックマークに追加

[3.7 J1第1節 鹿島2-0浦和 カシマ]

田村修一の「視点」

 先週の富士ゼロックススーパー杯(G大阪に3-0)、そしてこの日の開幕戦を見る限り、鹿島は完全にチームが成熟し、完成されている。死角はほとんどないと言っていい。小笠原満男も戻ってきたし、興梠慎三の調子もいい。本山雅志のボランチも悪くない。彼からいいボールが供給されているし、守備でも頑張っている。今のところ何かを変える必要はまったくない。1シーズンを通してこのままいくはずはないが、今の時点では完璧だ。

 浦和に関しては正直、もうちょっとやれるんじゃないかと思っていたが、期待外れだった。このレベルの完成度でシーズンに入ったというのは、厳しいかなと思う。

 チームを変えようとしている意図はピッチから伝わってきた。特に前半はパスをつないで崩すスタイルがある程度は見えた。ショートのダイレクトパスにロングパスをまじえる形が中盤ではできていた。しかし、それをゴール前でできず、鹿島の守備を崩せなかった。前の選手は流動的に動いていたが、サイドバックのオーバーラップがうまく絡んでいけてなかった。

 4バックの守備はまったくうまくいっていなかった。ボールの取られ方もひどい。見ていて情けなくなるほど、奪われてはいけない状況で、1対1でも単純にボールを取られていた。失点はカウンターからだったが、普通の攻撃でもピンチを招いていた。まだまだ時間はかなりかかりそうだ。

 ただ、後戻りはできない。タレントはそろっているのだから、問題はディシプリン(規律)だと思う。チームのために献身的に、90分間動き回れるようになるか。ある程度完成されている経験豊富な選手が、まったく考え方の違うサッカーに本気で取り組めるか。その意味では監督が強い力を発揮しないといけないだろう。

 簡単ではないし、時間もかかる。それまで待てるかどうか。フロントも、選手も、サポーターも我慢が必要だ。

<写真>カシマスタジアムに駆け付けた浦和サポーター
(取材 フットボールアナリスト田村修一)

TOP