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千葉指揮官高評価の憲剛、徹底マークも後半打開

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[3.22 J1第3節 千葉 1-1 川崎F フクアリ]

 川崎フロンターレの日本代表MF中村憲剛が相手の密着マークに苦しんだ。千葉は破壊力ある川崎F攻撃陣封じのため、司令塔・中村に対してブラジル人MFアレックスをマンマークにつける戦術を導入。「中村はアメリカンフットボールのクォーターバック(司令塔)かのようにタイミングよくボールを受け、的確にパスを出してくる。彼は世界のどこへ行ってもプレーできるだろう。今日は彼のいいところを消すためにアレックスを使った」と説明するアレックス・ミラー監督から「大役」を命じられたMFアレックスは、指示通りに中村に食いついて離れない。自陣・敵陣、中央・サイド構わずに中村を追い続け、彼に入ってくるボールをことごとく“刈った”。
 中村は右MFの谷口博之とポジションチェンジを試みるなど、マークを外そうとしたが、運動量の少なかった前半は不発。チームの攻撃も全く機能しなかった。だが、後半意図的に運動量を増やした中村はゴールに近い位置取りをし、2列目、3列目から再三ゴール前に飛び込んで千葉守備陣を混乱させた。また、中村はダイレクトパスや絶妙なスルーでアレックスのマークを外して決定機を演出。日ごろから「相手がマンマークをつけてきても、それはいいことだと思っている。自分のマークが厳しくなれば、それで他の選手のマークが緩くなるから。いいスルーパスを出さなくても、ゴールに絡まなくても、相手の選手を引き付けることでチームに貢献することはできる」と語る中村は得点に絡むことはなかったが、“おとり”となるプレーで劣勢だった試合の流れを変えた。
 相手の策を打開した中村の好プレーなどで後半に試合の流れを引き寄せた川崎Fは、ジュニーニョの左足ミドルシュートで同点。計25本のシュートが実らず1得点に終わったものの、チーム全体で運動量が増えた後半の戦いぶりについては関塚隆監督も「後半は今月の公式戦5試合で一番内容のあるサッカーができていた」と満足げだった。中村も「後半についてはポジティブな面が多かった。後半の球離れの早さやリズムでやれれば大体のチームは崩せると思う」と手ごたえを口にしていた。
 開幕3戦未勝利で勝ち点2に終わっている川崎Fだが、中村を中心に運動量を増加させた後半はシュート数15-1と相手を完全に圧倒。ややゴール前で慌ててしまったところがあり勝ち越すことはできなかったが、今後へ向けた手ごたえを得た。優勝候補の巻き返しはこれから。リーグ戦のスタートとしては失敗した川崎Fだが、エースの奮闘とチームの好内容から“4月反抗”を期待させる一戦だった。

(取材・文 吉田太郎)

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