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[大学MOM_2]流通経済大MF千明聖典(4年)_中盤コントロール

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[大学マン・オブ・ザ・マッチ]

[4.11 第83回関東大学サッカーリーグ1部リーグ第1節 流通経済大 4-0 東海大 西が丘]
 
 165cmの小柄なゲームメーカーが4得点と爆発した王者の攻撃をコントロールした。全日本大学選抜候補のMF千明聖典(4年=流通経済大柏高)は“流経大の小さな巨人”こと左利きの司令塔。その左足から繰り出される正確なパスを起点にボールは左右両サイド、そして最終ラインの裏へと送られ、ゴールショーと開幕戦勝利につながった。33分にはFW船山貴之主将(4年=柏U-18)のラストパスから左足でゴールもゲット。中野雄二監督は「90分間、しっかりと試合をコントロールしていた」とこの試合のベストプレーヤーに千明の名を挙げていた。

 「チームとしては思っていた以上の攻撃ができていたと思う」と東海大戦を振り返った千明だが自分に対しては厳しく、「チームで試合終了まで戦う、という中で周りの選手のほとんどは(関東リーグで戦う)経験がなかったから自分がもっと声をかけていかなければならなかった」と反省していた。
 引き締めるのには理由がある。千明は昨年も中盤の中核としてチームを支え、リーグ優勝に貢献した。その昨年のチームと今年のチームを比較すると「昨年は勝負強いチームだった。苦しくても個々で何とかしてしまうチームだった。今年は見ていて楽しい攻撃ができる。でもうまい選手ばかりで逆に調子が落ちた時に勝ちきることができるか」と話した。今年の流経大の中盤は各校で10番を背負ってきたような選手ばかり。いい時と悪い時の波があるかもしれない。ただ、その状態が悪い時でもチームを勝利へゴールへ導くのは千明の役割だ。それが今年1年の自身のテーマでもある。
 
 昨年13人の選手がJ1、J2、そして韓国Kリーグを進路に求めた。当然自分もその道を歩むつもりでいる。ただ、プロになることが目標ではなく、プロで活躍することが目標。そのためには今のままでは物足りない。
 見つけたヒントは「前に出る」ことだった。昨年は関東MVPに輝いたMF三門雄大(現新潟)とコンビを組んでいたが、豊富な運動量でゴールへ迫った三門に対して千明はスペースを埋めるバランサーだった。本来積極的に前へ出ていくタイプではないが、「守備も攻撃もすごいという訳ではない。少しでもプラスアルファを出していかないと。少しでも前に出る」。
 その言葉通りに試合で実践し、この日はPA付近で攻撃に絡んでゴールを奪った。まずは開幕戦で結果を出した。これを1年間継続していく。大学最終学年は将来のためにも重要な1年。自分が目指す姿である「前に出ること」、「得点により絡むこと」で相手の脅威となると同時に、プロからの評価も上げる。

(取材・文 吉田太郎)

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