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[大学MOM_13]筑波大DF作田裕次(4年)_成長する筑波の壁

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[大学マン・オブ・ザ・マッチ]

[5.4 関東大学サッカー1部第5節 国士舘大 0-1 筑波大 多摩]

 後半、勝ち点獲得を目指して必死に襲いかかかってくる国士舘大の前に筑波大の守備の柱が立ちはだかった。危険を素早く察知し、相手よりも速くクリア。球際でも体を張って相手に自由を与えない。「あまり良くなかった」と苦笑いする空中戦でも確実に体をぶつけ、ゴールを許さなかった。つなぐ意識が徹底できずボールを運べなかった筑波大だが、CB作田裕次(4年=星稜高)中心に守るそのディフェンスラインが破綻することは最後までなかった。
 「相手のプレッシャーが速くてディフェンスラインからボールをつなぐことができなかった。内容は満足していません。でも、ゼロに抑えることができたし、勝ち切ったことは大きい。よかったと思う」とディフェンスリーダーは振り返った。これで2試合連続の完封勝利。昨年度の全日本選手権準優勝チームは5位へ順位を上げた。

 ともに岐阜入りしたDF野本泰崇とDF田中秀人らJへ進んだ主力5選手が抜けた今年、元日本代表MFの風間八宏監督が「現時点で戦える選手は数人」と指摘するように現時点でチームの「個」のレベルはまだ高くない。だが、最終ラインで存在感を放つ作田に関しては別。指揮官も「すごく動けている。上でもやれるでしょう」と太鼓判を押す。
 星稜高(石川)時代に年代別の日本代表にも名を連ねていた作田はJクラブも注目するDF。だが昨年後期は出場機会を失っていた。それでも、気持ちは全く萎えなかった。「例えば安易にクリアしないとか、もっとできる。自分に期待しようと。もっと挑戦しようと思った」。現状に満足せずにステップアップを目指した結果、自身での実感はあまりないようだが、確実に進化を遂げている。自信もより持てるようになった。全日本大学選抜など選抜チームに招集されなくても今は意に介さない。「自分が負けているとは思わない」と。

 J入りした先輩DFたちを見て改めて目標は高まった。それでも安易にJ入りできるということは考えていない。「突き詰めて自分を高めていきたい。目標の先に次のステップがある。個人を高めていけるように頑張る」。20歳からでも気持ち次第でいくらでも成長できる。筑波大で、風間監督の下で学んだ自分を磨くことの大切さ。それがより自分を大きくすることを作田は知っている。

(取材・文 吉田太郎)

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