beacon

劇的勝利の川崎F「浮上のきっかけに」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[5.10 J1第11節 浦和 2-3 川崎F 埼玉]

 9戦不敗の浦和レッズを不振に悩んでいた川崎フロンターレが止めた。2度リードを奪われながらも追いついて最後は北朝鮮代表FW鄭大世の決勝ゴールで逆転勝ち。日本代表MF中村憲剛は「(リーグ戦とACLで)2連敗して、チームとして浮上するきっかけのために勝ち点3をとらなければいけなかった。7連戦の最後でみんな疲れきっていたと思うけど、勝ったことは非常にうれしい」と喜んだ。

 決勝ゴールはその中村のスルーパスからだった。FWレナチーニョのPKで同点に追いついた3分後の後半31分、中盤中央でボールを持った中村は「向こうのラインを見ていたら前がかりになっていたので狙っていた」と浦和最終ラインの裏、左サイドのスペースへ距離の長いスルーパス。これに反応して走りこんだレナチーニョが浦和DF坪井慶介のプレッシャーに倒れこみながらも懸命にラストパスを送る。中央に走りこんだのは不調で先発落ちも経験した鄭だった。「あれは本当に最高のボールが来た。レナのおかげです」と鄭。右足で押し込んだ背番号9は歓喜を爆発させながら川崎Fサポーターの元へ駆け寄った。

 今季のリーグ戦はアウェー戦で未勝利。加えて連勝がゼロと苦しい戦いが続いていた川崎F。試合開始前の暫定順位は13位だった。首位の浦和に負けてしまうと首位との勝ち点差が14となり、5月上旬にして優勝が大きく遠のいてしまう。だからこそ選手たちは必死だった。
 鄭は「首位のレッズ相手だし、引き分けでも負けでも下の方にとどまってしまう。この試合にかける気持ちはみんな強かった」と振り返る。守備の柱・DF寺田周平が左太ももを負傷して前半23分で交代。さらに31分に先制されるなど展開は最悪だったが選手たちはキレなかった。
 そして後半10分、左SBの村上和弘に代えてアタッカーのレナチーニョを投入。リスクを冒して攻めて逆転すると、「とにかくみんなで頑張るということはブレなかった」(中村憲)チームは全員で1点を守りきった。
 アウェーで首位を逆転で撃破した川崎F。この勝利を無駄にしないためにも次戦のホーム・磐田戦も絶対に勝ち点3をとる。

<写真>サポーターに挨拶する川崎Fの選手たち
(取材・文 吉田太郎)

TOP