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[Jの新風(1)]FW渡邉千真(横浜FM)

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[5.20 ナビスコ杯GL第3節 横浜FM3-1広島 日産ス]

 「強い、上手い、早い」。三拍子揃った男が、この日もゴールの臭いを逃さなかった。

 渡邉千真。22歳。今年横浜F・マリノスに入ったばかりだが、もはや攻撃の中心を担う。3月7日のリーグ開幕戦、渡邉はプロ初先発にして初ゴールを決めた。その相手がこの日と同じサンフレッチェ広島だった。その試合では自身のゴールで先制するも立て続けに4点を奪われ、2-4で痛恨の逆転負け。「得点した以外、球に絡めず何もできなかった」。ほろ苦いデビュー戦となった。しかし、その後のリーグ戦ではメキメキと頭角を現し、「強い、上手い、早い」を武器に5ゴールをあげる活躍。得点ランキングでは日本人トップとなっている。

 「今日は是非点をとろうと狙っていた」。開幕戦で負けたからこそ、気合が入っていた。開始2分、相手DFとGK間のパスを鋭い出足でカットするとGKをかわしフィニッシュ。前半35分、FW佐藤寿人にゴールを決められ1-1とされた。するとその3分後、やられたらやりかえせと言わんばかりに2点目を叩きだした。PA左で山瀬からパスを受けると瞬時に縦に加速。DFを置き去りにしGKの股を抜いた。「トゥーキックです。横向きで受けたけれどトラップが縦に出ちゃったので、そのまま縦に行った」。強さ、上手さ、早さだけでない。ゴールの臭いをかぎとった時の瞬間的な柔軟性をも見せつける、見事なゴールだった。

 「最近点がとれていなった。だから今日は仕事ができて良かったです」と渡邉。「何もできなかった」とこぼしたプロ初戦から大きく成長し、自分の仕事ぶりに納得ができたようだ。明日発表されるW杯アジア最終予選の日本代表メンバー入りに自信はあるか、と聞いてみた。「僕のレベルはまだそこに達していないので、全然選ばれるわけがない。まずリーグで勝てるように頑張ります」。そう言っていたが、この大型FWはきっと、近い将来代表のトップを張ってくれるだろう。

※この連載企画では、ナビスコ杯のニューヒーロー賞候補選手の中で、各試合最も活躍した選手を取り上げていきます。

<写真>得点を決め、手を広げるパフォーマンスを見せた横浜FM・FW渡邉
(取材・文 山口雄人)

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