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ジュニーニョがロスタイム弾、川崎Fが“鬼門”の新潟で勝ち点1奪取

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[7.11 J1第17節 新潟 2-2 川崎F 東北電ス]

 勝ち点31で並ぶ2位・アルビレックス新潟と3位・川崎フロンターレの上位対決は、1-1で迎えた後半18分に新潟がMF松下年宏のゴールで勝ち越したが、川崎Fは後半ロスタイムにFWジュニーニョが同点ゴールを決め、2-2で引き分けた。

 4-3-3システムの新潟はGKが北野貴之で、出場停止のDF内田潤に代わり、酒井高徳が右SBで初先発。CBは千代反田充と永田充、左SBは中野洋司が先発した。中盤は本間勲をアンカーに右MFがマルシオ・リシャルデス、左MFが松下年宏。3トップは右から矢野貴章、大島秀夫、ペドロ・ジュニオールが並んだ。

 一方、川崎Fは北朝鮮代表FW鄭大世が出場停止。4-4-2システムの2トップはジュニーニョと矢島卓郎が並び、その下に攻撃的MFとして中村憲剛と山岸智が構えた。ダブルボランチは寺田周平と谷口博之で4バックは右から森勇介、井川祐輔、菊地光将、伊藤宏樹。GKは川島永嗣が先発した。

 攻守の切り替えが早く、互いの仕掛けあい、ボールの奪いあいとなった好ゲームは、2-2で勝ち点1を分け合った。対川崎F戦はホーム戦10連勝中の新潟は、ペドロ・ジュニオールの突進や松下のスルーパスに矢野が反応するなど前半から相手守備陣を脅かす。一方の川崎Fは新潟の18歳・酒井のサイドを狙い、左サイドに人数をかけて崩していく。
 試合が動いたのは前半36分だ。新潟はマルシオ・リシャルデスが自ら獲得した、ゴール正面右サイドからのFKで右足を一閃。相手DFに当たってコースが変わったボールは、逆をつかれたGK川島の先を抜けてゴール左隅へと吸い込まれた。

 苦手の新潟で1点を追う展開となった川崎Fは、後半開始から山岸に代えてレナチーニョを投入。3トップへ変更して反撃を開始すると直後の5分だ。右サイドでFKを得た川崎Fは、相手の隙を突いた中村がPA内のジュニーニョへ素早いリスタート。これを受けたジュニーニョが右サイドから中央へ折り返すと、谷口が詰めて同点に追いついた。

 好調チーム同士の戦いはここからさらにヒートアップ。川崎Fは中村が好パスを連発すると、ホームの新潟は酒井、中野の両SBが積極的に前線へ顔を出し、相手に比べると少ない回数の攻撃ながらも決定機へと結び付けていく。そして18分、新潟は酒井からパスを受けたマルシオ・リシャルデスが、トゥーキック気味のスルーパスをPAへ送る。これに走りこんだ松下が右足ダイレクトでゴールへねじ込み、再び新潟が勝ち越した。

 直後の21分、川崎Fは新潟・松下と競り合った森が、相手の顔面に左ひじをぶつけてしまい、一発退場。数的不利となった川崎Fは、その後MFヴィトール・ジュニオールとFW黒津勝を投入したが、決定的な場面を新潟DF千代反田に弾き返されるなど得点できない。そのまま試合は4分が表示されたロスタイムへ突入する。
 それでも川崎Fのエースが奇跡を起こす。48分、井川の右スローインがPA内右サイドに構えていたジュニーニョへ通る。ジュニーニョは反転から中央へ切れ込み、相手DFのプレッシャーよりも一瞬速く左足シュート。これがGKの指先を抜けてゴール左隅へ入る劇的な同点ゴールとなり、土壇場で試合は振り出しに戻った。
 直後に試合終了。試合後のインタビューで新潟の鈴木淳監督は試合の締め方を悔やみ、川崎F・関塚隆監督は「これは次につながる」とほっとした様子だった。

(文 吉田太郎)

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