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[高校MOM_32]広島皆実高MF浜田翔(2年)_兄に憧れて

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]

[7.11 JFAプリンスリーグ中国1部下位リーグ第2節 広島皆実高 2-0 作陽高 美作]

 3トップの左に位置し、持ち前のテクニックとスピードを活かしたドリブルと、明晰な頭脳を活かしたパスセンス。このプレースタイルどこかで見たことがある。それもそのはず、広島皆実高MF浜田翔は1月の全国高校選手権優勝の原動力となったMF浜田晃の弟だからだ。
 兄は偉業を成し遂げ、卒業したが、兄に憧れて広島皆実に入った彼には、ひとつの悔しさがあった。「兄と一緒に試合に出たかった」。彼は昨年、公式戦で一度も兄と同じピッチに立つことができなかった。この悔しさを胸に迎えた今年、春先こそ安定したパフォーマンスを披露できなかったが、徐々に持ち前のサッカーセンスを活かしたプレーで、藤井潔監督に大きくアピールし、定位置を確保した。
 「攻撃にアクセントを加えたい」との意思どおり、バイタルエリアを激しく出入りすることで、攻撃に厚みをもたらした。この試合でも2点目は彼の華麗な突破から生まれた。32分、左サイドでMF秦和広の縦パスに対し、「相手DFが、自分が足元でトラップすると判断して止まると思ったので、ワンタッチで前に出た」と語ったように、一度足を止めてマークに来たDFの足を一瞬止めると、バックステップから一気にワンタッチで中に切れ込み、置き去りにして速いセンタリング。これが応対に来たDFのクリアミスを誘い、2点目のゴールに繋がった。
 「小柄でも勝負が出来るように、常に工夫して、兄が成し遂げた日本一を自分も経験したい」。目に焼きついた兄の背中を追いかけて。小さなテクニシャンの戦いはまだ始まったばかりだ。

(取材・文 安藤隆人)

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