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[高校MOM_61]前橋育英DF木村高彰(3年)_初Vの陰に“この男アリ”

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.8 全国高校総体決勝 前橋育英 2-0 米子北 橿原公苑陸上競技場]

 彼がいなかったら、もしかすると結果は変わっていたかもしれない。初Vを懸けた決勝。前橋育英(群馬)の選手は完全に足が止まっていた。中盤が間延びしながらも、それを解消することすら出来ない状況で、U-18日本代表候補DF木村高彰は一人、常に相手にとって嫌な位置に居続けた。
 スタートは本来の右SBではなく、ボランチだった。相棒のU-17日本代表MF小島秀仁をアンカー気味にして、木村は積極的に前に出た。4分の先制弾の起点となるなど、効果的なプレー。だが24分には守備がうまく機能していないため、右SBに戻った。
 ただ、疲労からか運動量がまったく上がらず、逆にビルドアップを妨げてしまっていた小島の姿を見た木村はポジションを中に絞り、且つ高い位置に張り、サイドをケアしながらも、中央のスペースに一人ポジション取りをすることで、米子北のカウンターの第一防波堤となった。

 「常に小島の位置とFWの位置を見て、自分がどこに居ればいいか考えた」。彼が右SBながら小島の代わりにボランチのポジションも同時にこなし、守備バランスを支え続けた。そしてボールを奪うと、一気に右サイドを駆け上がって、何度も質の高いクロスをゴール前に送り続けた。
 もし、木村が居なかったならば、中盤は相手の思うように支配され、スコアは変わっていたかもしれなかった。試合後、小島は「木村さんに助けられた」と頼もしき先輩を称えた。優勝の陰に木村の活躍あり。こういう気の利く選手の存在こそ、チームの強みであることを、彼は改めて教えてくれた。

(取材・文 安藤隆人)

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