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俊輔がいなくなったら…6分で3発の大逆転勝利

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[9.9 国際親善試合 ガーナ3-4日本 ユトレヒト]

 日本代表は9日、ユトレヒトでガーナ代表と対戦。一時は2点のリードを許したが、残り12分から逆転し、4-3の劇的勝利でオランダ遠征を締めくくった。1-3の後半33分にFW玉田圭司、同34分にFW岡崎慎司の連続ゴールで同点に追いつくと、後半38分にMF稲本潤一が決勝点。6分間で3ゴールを叩き込む大逆転勝利だった。

 日本は5日のオランダ戦(0-3)からメンバーを3人入れ替えた。GK都築龍太、DF駒野友一、FW前田遼一が先発し、システムも4-4-2に変更。駒野は内田篤人に代わって右サイドバックに入り、中盤は右に中村俊輔、左に中村憲剛。前線は前田と岡崎が2トップを組んだ。
 3日前にW杯出場を決めたばかりのガーナは4-2-3-1で、FWアサモア・ジャンが1トップ、MFマイケル・エッシェンはボランチに入った。
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 プレッシャーが甘いガーナに対し、日本は中盤で余裕を持ってボールをつなげた。中村憲は守備時は左サイドに入ったが、攻撃になると自由に動いてボールを呼び込み、攻撃の起点となった。

 前田と岡崎の2トップも裏に抜ける動きを意識し、2列目からの飛び出しもあった。前半13分、田中マルクス闘莉王のロングフィードに前田が抜け出したが、シュートはゴール右へ。前半15分にも中村俊のスルーパスに反応した中村憲が絶好機を迎えたが、これも枠を捉えきれなかった。

 チャンスをつくりながらシュートの精度を欠き、ゴールを奪えない日本は、ひとつのミスから先制点を許した。前半31分、中盤で中村俊がボールを奪われ、カウンターからCKを与えると、このCKからのプレーでDF長友佑都がハンドを犯したとしてPKを献上。ギャンがこれを落ち着いて決め、ガーナが先制した。

 運動量が少なく、攻撃にも人数をかけないガーナだったが、シンプルな攻撃で立て続けにゴールを奪った。後半2分、GKからのロングボールを受けたギャンが中澤のプレッシャーを跳ね返し、鋭い切り返しからシュート。2-0とリードを広げた。

 後半8分にはゴール前のこぼれ球に反応した中村憲が左足ダイレクトでゴールを決めたが、同21分、またもロングフィードで失点した。中盤でMFサリー・ムンタリへのプレッシャーが甘くなり、ゴール前に走り込んだFWアモアーに絶妙なロングパスを通された。アモアーは、飛び出してきた都築もかわし、無人のゴールに流し込んで3-1。オランダ戦に続く惨敗が頭をよぎった。

 しかし、日本はここで下を向かなかった。後半25分、前田に代えて玉田、プレーに精彩を欠いていた中村俊を下げてMF本田圭佑を投入。相手のプレスが弱い中盤でシンプルにボールが回るようになり、一気に反撃に出た。

 特に左サイドバックの長友は90分を通して運動量が落ちず、左サイドから再三チャンスをつくった。後半33分、その長友が左サイドで粘ってボールを奪い、ゴール前にマイナスのクロス。玉田は角度のない位置から左足で右のサイドネットに突き刺し、2-3と1点差に追い上げた。

 その1分後には、後半18分から途中出場していた稲本が正確な左クロスを送り、DFラインの背後を取った岡崎が得意のヘディングで同点ゴール。わずか2分で試合を振り出しに戻すと、流れは完全に日本に移った。

 後半38分、長友の横パスを受けた稲本が強烈な右足ミドルをゴール左に叩き込み、4-3。03年3月28日のウルグアイ戦以来、約6年半ぶりとなる稲本の一撃で、アフリカの強豪ガーナを大逆転でねじ伏せた。

<写真>長友(15番)からのアシストで決勝点を決めた稲本

(文 西山紘平)

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