beacon

[天皇杯]F東京はプロの意地発揮。控え組が奮闘

このエントリーをはてなブックマークに追加
[10.11 天皇杯2回戦 F東京4-0カマタマーレ讃岐 味スタ]
 第89回天皇杯全日本サッカー選手権は11日、各地で2回戦第2日の試合が行われた。東京・味の素スタジアムではJ1FC東京と香川代表のカマタマーレ讃岐(四国社会人リーグ)が対戦。この試合の前に松本山雅FCが浦和を破るなど波乱が多く、カマタマーレ讃岐も“金星”ゲットを狙ったが、FC東京が意地を見せた。MF梶山陽平が前半10分にドリブル突破で先制弾、同16分にはMF鈴木達也が追加点を決めるなど前半だけで4得点を奪い4-0快勝した。
 FC東京はDF長友佑都、MF石川直宏ら4選手を日本代表で欠いたうえ、顔面骨折のDF茂庭照幸ら負傷者も多く、DFラインが全員、入れ替わった。GKは塩田仁史が入り、DFは右から椋原健太、佐原秀樹、ブルーノ・クアドロス、平松大志が務めた。平松は公式戦初の左SB。前線は大きく変わらず、MF石川の右MFには最近はFWの鈴木達也が回り、2トップは平山と赤嶺が組んだ。
 対するカマタマーレ讃岐は、羽中田昌監督がスペインサッカーを掲げており、4-3-3布陣。メンバーもベストで、GKは堀之内健介、4バックは右からDF神崎亮佑、DF下平智久、DF相原央、DF下松裕が入り、逆三角形の中盤は1ボランチに元鹿島のMF吉澤佑哉、2列目にMF朝比奈祐作、MF網田大志、3トップは右からFW佐々木惇、FW佐藤亨、FW森田栄治が入った。
 FC東京も原博実前監督時代はスペイン流の攻撃サッカーを標榜しており、“新旧スペイン流対決”となったが、個人技の差は歴然だった。FC東京が常にボールを支配し、攻め込んだ。前半10分にMF梶山が右サイドを突破して先制ゴールを決めると、同16分には左サイドからMF鈴木がドリブルで切れ込み2点目を奪った。同35分にはブルーノ・クアドロスがCKからヘッドで加点し、同42分にはDF椋原の右クロスにFW赤嶺が飛び込んで4点目を奪った。
 カマタマーレ讃岐は、8日に四国社会人リーグの最終戦・徳島ヴォルティス・セカンド(J2徳島の下部組織)戦を終えたばかり。悔しくも2位に終わり、JFL参入をかけた全国地域リーグ決勝大会に進めなかった。将来的なJ参入に向け、まずはJFL昇格を目指すクラブあって、この大会に参加できなかったことは、かなりのダメージ。精神的にも肉体的にもきつい状態で試合に臨んでいたようだ。
 パスをつないで試合を作ろうとしたが、なかなかいい形が作れなかった。スペインサッカーを目指しているだけあって、格下にありがちなロングボール、カウンター戦術で勝機を見いだすようなサッカーはしてこなかった。サイドを使ってビルドアップし、そこから速い攻めに転じようと試みたが、跳ね返された。前半30分にはFW佐藤に代わりFW岡本秀雄を投入。サイドを起点にして攻めようとしたが、なかなかいい形が作れなかった。
 しかし、後半はカマタマーレ讃岐も、J1の寄せの速さに慣れたのか、ボールを回すシーンも見られた。FC東京に再三、決定機を作られたが、最後の局面では体を張って封じた。後半23分には右CKにDF神崎が飛び込み、ヘディングシュート。GK塩田にセーブされたが、見せ場は作った。同33分にはCKのこぼれ球をファーサイドで拾ったFW岡本が右足で強烈なシュート。惜しくもサイドネットでゴールはできなかったが、奮闘を見せた。
 FC東京は後半、好機を作ったがゴールが割れず。後半38分にはFW赤嶺がGKとの1対1を決められず、軽くブーイングが起こるシーンもあった。とはいえ、FC東京は若手や出場機会の減っていたベテランが奮闘。多くのJクラブがしまらない試合をしている中で、プロクラブとしての威厳を保った。
(取材・文 近藤安弘)

TOP