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[天皇杯]F東京・塩田が今季初本拠地で完封

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[10.11 天皇杯2回戦 F東京4-0カマタマーレ讃岐 味スタ]
 DFラインが総入れ替えとなったFC東京だったが、全員が奮闘して勝利をつかんだ。中でも人一倍、勝利を喜んだのが、GK塩田仁史だった。今季初めて立った本拠地・味スタのピッチに大声を響かせ、守備陣を引き締めた。
 「きょうは自分のことよりも、チームが勝つことが大事だった。0点に抑えられて良かったです。トーナメントなんで上にいけてよかった」
 表情にはうれしさと安堵感が入り混じっていた。昨年リーグ戦34試合に出場し、本来ならFC東京の守護神を務めるはずだったが、今年2月に壊死(えし)性虫垂炎を患い約1カ間、入院した。術後に起こる合併症を誘発して再手術を受けた影響で、予定よりも復帰が遅れた。そのうえ、不在中にGK権田修一が台頭。復帰してもベンチを暖める日が続いた。今季のリーグ戦出場は0。7月29日のナビスコ杯準々決勝第2戦・名古屋戦(1-2敗戦)の1試合に出場していただけだった。
 この日は試合前の練習から、サポーターの大声援を受けた。うれしさと同時に、約10カ月ぶりに迎える本拠地ピッチで、余計に勝利を飾りたい思いが強くなった。
 「相手のことをリスペクトして臨んだ。カマタマーレはサッカーへの情熱をもったチーム。気を引き締めていた」と塩田。今大会、多くのJクラブが足元を救われているが、FC東京にはそんな心配は必要なかった。塩田がいつもの野太い声で、最終ラインに指示を飛ばす。シュートは11本打たれ、1対1の場面も作られたが、すべてセーブ。DFライン総入れ替えという緊急事態を救った。
 「去年は、準決勝で敗れて悔しい思いをした。今年は優勝できるように、1つ1つ勝ち進んでいきたい」と塩田。“地獄”からよみがった男の底力は、計り知れない。ナビスコ杯は決勝が控えており、リーグ戦もまだかろうじてACL出場権の3位以内に入るチャンスが残されている。今後、先発復帰するかどうかは未定だが、頼もしい男が復活したのは事実だ。
(取材・文 近藤安弘)

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