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[天皇杯]100日ぶり勝利の千葉、若手の台頭にかすかな光明

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[10.12 天皇杯2回戦 千葉3-0Honda FC フクアリ]

 100日ぶりに味わう勝利の喜びは控えめだった。4年ぶりとなる天皇杯初戦突破で、7月4日の大分戦以来、公式戦13試合ぶりの白星。就任10戦目でようやく初勝利となったジェフユナイテッド千葉江尻篤彦監督は記者会見で「初勝利の感想は?」と聞かれ、苦笑いを浮かべるしかなかった。

 JFLで10位と苦戦が続くHonda FCとの天皇杯初戦。前日11日には浦和が地域リーグの松本山雅FCに0-2で敗れ、「僕らのモチベーションを高めるには十分な結果」(FW巻誠一郎)だったが、前半は守備組織の崩れない相手を攻めあぐねた。

 流れを変えたのは巻の先制点だ。後半4分、MF中後雅喜のパスを受けると、ゴールライン際でDFをかわし、角度のない位置から右足でねじ込んだ。「先制点が大事だと思っていた。個人としてもチームとしても楽になる点だった」。これで前がかりになったHonda FCの空けたスペースを突き、試合の主導権を握った。

 後半17分にDF和田拓三、同36分にFW新居辰基も加点し、3-0。3得点は今季公式戦で最多。無失点も8月15日の柏戦以来、8試合ぶりだった。「勝つ喜びをみんな忘れていた。公式戦で結果が出せたのはうれしいし、次につながる試合になったと思う」と和田。この勝利をリーグ戦に生かせるか。江尻監督は「次の京都戦で結果を出すのが我々の使命」と気を引き締めた。

 光明は若手の台頭か。後半25分から途中出場したMF米倉恒貴は積極的なプレーを見せ、ドリブル突破からのシュートで3点目の起点にもなった。FW金沢亮も昨年3月20日のナビスコ杯・川崎F戦以来となる公式戦出場を果たした。江尻監督も「途中から入った米倉がリズムを変えてくれた。これからの6試合の重要なキーになる。試合の中でいい形で使っていきたい」と、切り札としての手応えをつかめたようだ。

 金沢は「浦和とかもどんどん若い選手が出ている。残留争いをしている中で若手が出ていくことも大事だと思うし、試合に出たときはチームに貢献できるようにしようと(米倉)恒貴とも話している」と言った。残り6試合で残留圏とは勝ち点8差。昨季に続く奇跡のJ1残留へ、この日の勝利を無駄にするわけにはいかない。

(取材・文 西山紘平)

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