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[天皇杯]突き飛ばし“事件”から横浜FM・飯倉が復帰。「川崎Fに借りを返したい」

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[11.1 天皇杯3回戦 横浜FM4-1福島ユナイテッドFC 日産ス]
 地力どおり横浜F・マリノスの圧勝だったが、試合終了の笛が鳴った瞬間、この男は誰よりも安堵の表情を浮かべていた。6試合の出場停止明けから初めて公式戦に先発出場したGK飯倉大樹だ。復権へ向け、最低限の仕事を果たした。
 「チームに迷惑をかけていた。自分自身、悔しい気持ちでいっぱいだった。また次、チャンスがあるかわからなかったけど、監督が使ってくれた。しっかりとしたプレーをしようと思っていた。早い時間に先制点が取れて、うちのリズムで試合ができた」
 飯倉は9月6日のナビスコ杯準々決勝第2戦・川崎F戦(日産ス)で、後半42分にFWジュニーニョに後方から体当たりをして一発退場。これが響き、勝てたかもしれない試合を落とした(飯倉の退場劇)。その後、6試合の出場停止処分を受けた。申し訳ない、情けないという思いがあふれた。一部サポーターらからの誹謗・中傷はもちろん、子供のころから知り合いの近所の人にまで「何であんなことしの!」と言われるなど、冷たい視線を浴びたという。
 「チームメートの信頼を回復しないといけないので、普段のトレーニングの量を増やしたりした。近所の人にも認められる選手になりたいと思ってやってきた」と飯倉。ひたむきに、必死に練習してチャンスを待った。そして、10月24日のG大阪戦から出場できる状態になり、木村監督の方針の下、復帰戦はこの天皇杯3回戦があてられた。
 日本代表DF中澤佑二が「久しぶりの試合で思うところはあったと思う。あれだけのことをすると、普通はしばらく使ってもらえないから」と話したとおり、本来ならサブのまま今季を終えてもおかしくない事態だったが、指揮官が“リベンジの場”を与えた。その思いはもちろん、チームメートの信頼を取り戻すために、必死に戦った。指示の飛ばしすぎで、試合後は会話に苦労するほど声がかれていた。
 1失点はしたがセットプレーからで、飯倉のせいとはいえない。今後はGK榎本哲也とポジションを争う。「哲さんが守って、リーグはほとんど負けていない。自分は自分なので、まずは自分がしっかりとプレーできるようにしたい」と控えめに話したが、密かに燃えている。川崎Fへのリベンジだ。
 次の15日の4回戦は川崎F対富山(11月11日開催)の勝者と対戦する。順当なら川崎Fとの“再戦”が控える。「フロンターレとぜひ、戦いたい。チャンスがあったら、借りを返したい」。“真のリベンジ”へ向け、飯倉は気持ちを引き締め直していた。
<写真>横浜FM・GK飯倉
(取材・文 近藤安弘)

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