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[ACL]暗雲漂う鹿島、猛攻も報われず内田は「思い切りがなかった」

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[9.17 ACL準々決勝第1戦 鹿島1-1アデレード・U カシマ]

 あと1点が遠かった。ホームで先勝し、優位な状況で第2戦を迎えたい鹿島アントラーズはシュート24本を浴びせながら決定力を欠き、1-1ドロー。24日のアウェーでの第2戦を前に暗雲が漂った。

 長身選手の多い相手に対し、サイドを徹底して攻略するのは狙い通りだった。FWマルキーニョスが左サイドに張り、右サイドではDF内田篤人のオーバーラップから数的優位をつくる。0-1の前半ロスタイム、右サイドからの内田のライナー性のクロスが相手のオウンゴールを誘ったのも、低いクロスを多用した結果だった。

 マルキーニョスは「(相手の)真ん中はとてもコンパクトで、なかなかチャンスをつくれない。だからサイドに張って1対1の局面をつくって、スピードが遅いという相手の弱点を突いていこうと思った」と言った。後半はほぼ左サイドに張りっぱなしで、フリーの状態でパスを受けると、目の前の相手に果敢に1対1を仕掛けた。後半6分にはDF中田浩二のシュートをお膳立てし、同11分にもワンツーからFW興梠慎三のミドルを引き出した。しかし、ことごとくゴールを割れない。何度か相手のカウンターに脅かされる場面もあり、守って速攻という相手の術中にはまった。

 「勝ちに行こうと試合に入って、結果は引き分けたけど、向こうで勝てばいい」と気持ちを切り替えたMF小笠原満男は「(相手は)細かいパス回しとドリブルに弱い」と指摘。マルキーニョスも「スピードではうちが上。スピードを生かしたプレーをどんどん出せれば」と第2戦を見据えた。チャンスは数多くつくった。手応えを持ってアウェーに乗り込めるのは間違いない。

 ただ、マルキーニョスと内田という鹿島のストロングポイントはアデレード・Uも十分、肌で感じただろう。逆に言えば、そこさえ抑えればなんとかなるという感触もつかんだはずだ。マルキーニョスが左サイドに張るあまり、ゴール前が手薄になるという欠点も露呈した。もしも鹿島の選手が第1戦のようにやれば大丈夫と考えているなら、足元をすくわれかねない。「あと少しのところで、自分を含めて思い切りがなかったかな」。そう反省した内田の言葉が、この試合を最もよく分析していた。

<写真>鹿島のキーマンに挙げられるFWマルキーニョス
(取材・文 西山紘平)

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