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[選手権]"PK職人”長峰、ジンクス覆す(鹿島学園vs一条)

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[12.30 第87回全国高校サッカー選手権1回戦 鹿島学園(茨城) 1-1(PK3-2) 一条(奈良) 国立]

 ひざまづき、両手を力強く突き上げた背番号1に鹿島学園(鹿島)イレブンが一斉に駆け寄り、歓喜の輪ができた。1-1で突入したPK戦。3人連続で成功していた後蹴りの鹿島学園は、決めれば勝利が決まる4人目・工藤由夢(3年)のシュートが一条(奈良)GK西井隆人(3年)のセーブにあい、勝利を決められない。
 だが、その直後、「止めればヒーローになれる。まだ終わりたく(負けたく)なかった」と意気込んでいたGK長峰大樹(3年)が一条5人目のキックを左へ飛んでストップ。3-2で勝った鹿島学園が「国立1勝」を手に入れた。
 
 長峰は足でセーブした2人目のシュートに続く2本目のセーブ。鈴木雅人監督(33)が「彼は“自称”PKなんです」というGKは大仕事をやってのけた。「“PK職人”と言った覚えはないんですけど・・・」と照れた長峰だが、PK戦の成績は小学6年でGKを初めて以来わずか1敗だけ。元FWの守護神は「自分が蹴る立場になったときに嫌な動作をする」と相手のリズムを崩すコツを披露し、「自信を持ってできた」と“11m決戦”勝利を笑顔で振り返った。
 鹿島学園は昨年度の県大会決勝で水戸短大附にPK戦の末に敗退。また一昨年度の全国大会では3回戦で星稜(石川)にPK戦の末に敗れて敗退している。鹿島学園にとって、PK戦には間違いなく嫌なジンクスがあった。だが星稜戦をベンチから悔しい思いで見つめていたという長峰は「自分が経験して負けたものではない。ジンクスがあったとしても覆してやろうと思った」。相手にプレッシャーをかけて自分のリズムへ持ち込むと、素晴らしい2本のセーブ。レギュラー左SBがケガで欠場した窮地の中、「1人代わったくらいで崩れるようじゃ意味がない」と言い放った“茨城のPK職人”が、今年の県大会決勝(対水戸商)に続くPK戦勝利をもたらした。

<写真>PK戦で2本のシュートをブロックした鹿島学園GK長峰大樹
(取材・文 吉田太郎)

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