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[選手権]大阪桐蔭がボクシングサッカーで"KO勝ち"(不来方vs大阪桐蔭)

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[12.31 第87回全国高校サッカー選手権大会1回戦 不来方(岩手)0-5大阪桐蔭(大阪) 市原臨海]

 初出場の大阪桐蔭(大阪)が大量5得点のゴールラッシュで初戦を突破した。前半3分、MF保井隆志(3年)の直接FKで先制すると、その1分後にはMF牧野翔(3年)の右クロスを再び保井が左足で合わせ、開始4分で2点を奪った。「立ち上がりの2点で楽になって、自分たちのサッカーができた」と保井。後半2分にはMF永澤圭祐(2年)の右クロスにFW高山寛正(3年)が頭で叩き込み、同14分にも永澤が4点目を決める。同25分、左サイドのスペースに飛び出した保井が中央に折り返し、FW星原雄太(3年)のダメ押しゴールをアシストした。

 大阪府大会では準々決勝から決勝まで3試合連続の1-0。「予選でも僅差ばっかだったし、接戦になると思っていた」(保井)と選手自身も驚きを隠せない圧勝劇は、まさに“KO勝ち”だった。

 大学卒業後の20代前半にボクサーを目指して大阪帝拳ジムに約1年間所属していた永野悦次郎監督。異例の経歴を持つ指揮官が掲げる「ボクシングスタイル」の真骨頂だった。「ボクシングではジャブが相手にとって一番怖い。ジャブで相手の意識が集中したら、手薄なところに勝負のストレートを繰り出す」。中央でボールを回し、相手のマークを引き付けたところでサイドに展開し、一気にゴールに迫る。ゆっくりとしたビルドアップから一気にスピードアップするリズムの変化が絶妙だった。

 永野監督は身振り手振りのシャドーボクシングで選手に動きを指導することもあるという。保井は「ボクシングに例えられるのは分かりやすい。ジャブで相手を中央に集めてサイドから行く。今日もサイド攻撃ができた」と胸を張った。

 1月2日の2回戦の相手は、圧倒的な攻撃力で優勝候補にも挙げられる鹿児島城西(鹿児島)。「点を取られるのはしようがない。取られても取り返す気持ちで。相手よりも点を多く取る気持ちでやっていきたい。自分たちのサッカーで相手を翻弄したい」と保井は力を込めた。殴られれば殴り返す。殴り合い上等の“喧嘩サッカー”で大会に旋風を巻き起こす。

<写真>2得点1アシストの大阪桐蔭MF保井隆志(中央)。大量5ゴールで初戦を突破した

(取材・文 西山紘平)

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