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[選手権]いつも以上の「堅守」を見せた広島皆実・松岡(帝京vs広島皆実)

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[高校サッカー注目選手クローズアップ]

[12.31 第87回全国高校サッカー選手権大会1回戦 帝京(東京A)0-0(PK4-5) 広島皆実(広島) 駒沢]

 「よっしゃ!!やったぞ!!」。この1年間主将としてチームを引っ張ってきた広島皆実(広島)のDF松岡祐介(3年)は、PK戦の末勝利した試合後、ロッカールームで雄叫びをあげ、チームメイトと共に喜びを爆発させた。
 昨年度の選手権ベスト8のメンバーが数人残った今年の初戦、広島皆実は思わぬ苦戦を強いられた。相手は昨年の2回戦で2-0で下した帝京(東京A)。「今日も帝京を返り討ちにしてやろうと思っていた」と松岡は語ったが、リベンジに燃える帝京の圧力と"不運"に翻弄された。前半17分に、同級生のDF崎原拓也(3年)がPA前で帝京FWにタックルにいくと、それが危険なプレーとみなされ一発レッドカードで退場。この"不運"で数的にも不利となったはずだが、「堅守」で知られる広島皆実がいつも以上の「堅守」を見せた。その中心には、プリンスリーグ中国最優秀選手の松岡がいた。
 今年の県予選では6試合で2失点に抑えてきただけに、守備力には定評があった。しかし、「相手のCBやSBが何本もロングボールを上げてきた。風下だったし、ゴール前にいる人数が向こうの方が多かったのでかなりきつかった」と松岡。この"きつかった"試合を、CBでコンビを組んだDF井林章(3年)や両SB、そしてピッチ上の10人で守り通した。連携を取ってはいつも以上に集中を高め動き回った。そして90分間ゴールを死守した。「全国という舞台で、90分間を10人で戦い抜けたのは大きな自信」。帝京の猛攻を全員で凌いだチーム力は、間違いなく次に繋がるだろう。そして迎えたPK戦の時には、「"勝てる"という確信みたいなものがあった」という。「何故かは分からないけれど…」と付け加えたが、それはチームメイトを信じる気持ちが強かったからに違いない。自身のPKもキッチリと決め、主将の威厳も保った。
 2回戦の意気込みを聞いてみた。「自分はCBとしてしっかり守り、セットプレーから果敢に決めに行くのが得意。次は今日出来なかったセットプレーからのゴールを見て欲しい」。そう自分らしさを明確にアピールした松岡主将。2回戦の徳島商(徳島)戦でも、彼のプレーからは目が離せない。

(取材・文 山口雄人)

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