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[選手権]「内容5割未満」の筑陽競り勝つ(富山一vs筑陽学園)

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[12.31 第87回全国高校サッカー選手権大会2回戦 富山一(富山)0-1 筑陽学園(福岡) 埼スタ]

 埼玉スタジアム2002の第2試合では、6年連続22度目の出場となった富山一(富山)と5年ぶり2度目の筑陽学園(福岡)が対戦し、筑陽学園が後半に奪ったゴールを守り切って1-0で勝利を収めた。筑陽学園は09年1月2日に行われる2回戦(駒場)で日章学園(宮崎)と戦う。

 前半立ち上がりを「狙いどおりだった」と振り返ったのは、敗れた富山一の長峰俊之監督だった。大事な初戦ながら富山一イレブンには緊張や固さも見られず、開始5分にはオーバーラップしてきた右SB谷井一貴(3年)のクロスをMF前野良平(3年)が中央で合わせるなど、富山一が小気味よいパスワークからチャンスを作り出していく。

 一方の筑陽学園は、吉浦茂和監督が「3年生にとっては最後の大会なので、力が入り過ぎて空回りするところがあった」と語ったように、立ち上がりはなかなか効果的な攻撃を繰り出せないでいた。それでも、DF牟田雄祐(3年)を中心とした自慢の守備陣が富山一の攻撃をいなしていくと、次第に攻撃にもリズムが生まれていった。17分にはMF原孝徳(3年)のクロスにFW石橋翔平(3年)がダイビングヘッド、24分にはMF松本翼(3年)のクロスのこぼれ球から石橋がシュートを放った。前半は両チームともシュート6本ずつ放ち、内容的にも一進一退の展開だった。

 後半は「今までやってきたことをやろう」と送り出された筑陽学園が鋭い出足を見せる。49分、51分と立て続けにゴールの匂いを感じさせた。すると53分、MF大坪拓海(3年)のクロスを受けた石橋が右足を振り抜き、ついに先制点が生まれた。

 リードを奪われた富山一はリズムも奪われてしまった。「1点を取られたことで焦ってしまった」とDF松井奏多(3年)がうなだれたように、前に急ぎすぎるあまり攻撃が単調になり、パスも雑になった。相手陣内にボールを運んでも自滅に近い形で相手に奪われ、逆にカウンターでピンチを招くようにもなってしまった。終盤、富山一は4バックから3バックに変更して攻撃に人数を割き、なんとか同点ゴールを奪おうとしたが、筑陽学園の堅い守備を最後まで崩すことはできなかった。

 勝利した筑陽学園の吉浦監督は今日の出来について「5割もできていなかった」と苦笑いを浮かべ、「次はもっといいサッカーができたらいいと思う」と次戦での爆発を期待していた。

 その2回戦では宮崎県代表の日章学園と対戦するが、同じ九州の強豪校同士とあって今年だけでも数回対戦している相手。最近の試合では1-2と敗れていることもあり、「早稲田さん(日章学園監督)の息子の最後にしてやろうと思っている」と親子鷹で全国制覇を目指す日章学園に引導を渡すと笑いながら語っていた。

<写真>後半13分、先制ゴールを決めた筑陽・石橋(左)が喜びを爆発!
(取材・文 神谷正明)

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