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[選手権]夏の王者・市立船橋が初戦敗退…PK戦以外の敗戦は17大会ぶり(市立船橋vs香川西)

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[1.2 第87回全国高校サッカー選手権大会2回戦 市立船橋(千葉)1-2香川西(香川) 市原臨海]

 夏の王者が初戦で散った。過去4度の優勝を誇る名門・市立船橋(千葉)の初戦敗退は93年度大会以来、15大会ぶり。PK戦以外での黒星は91年度大会の準決勝・帝京戦(1-2)以来、17大会ぶりという歴史的敗戦となった。

 石渡靖之監督(49)の“奇策”が裏目に出た。試合前、FW中村充孝主将(3年)に「風下を取れ」と指示。コイントスに勝った中村は風下の陣地を取ったが、これで前半から香川西の猛攻を浴びる展開となった。「前半は両チームとも硬いだろうと予想していた。風下の方がつなぐ意識を持てるし、後半勝負だと思っていた」と石渡監督は説明したが、緊張から動きがぎこちなかったのは自分たちだけだった。風の勢いも利用した香川西に攻め立てられ、前半だけで2失点。市立船橋の前半のシュートは0本だった。

 石渡監督が「相手の攻撃が良くて、目算が外れた」とうなだれたのに対し、香川西のMF登里亨平主将(3年)は「僕らは前半、風下でもいいと思っていたけど、コイントスに負けて、逆にツイてましたね」と笑った。両者のコントラストが印象的だった。

 風上に立った後半は反撃に出て、立ち上がりからチャンスを量産した。しかし、後半2分、ポストのはね返りにつめたMF馬渡和彰(2年)はシュートをゴール右に外してしまう。同10分にもMF笈川大樹(3年)の左クロスから馬渡がフリーで合わせたが、これもシュートミス。結局、左CKからDF青木將英(3年)が1点を返したのは後半26分だった。石渡監督は「開始15分で取れれば追いつけるし、逆転できると言って選手を送り出した。立ち上がりにビッグチャンスがあって、そこを押し込めなかった。そこで取れてれば、変わっていたと思う」と振り返ったが、前半の2失点はあまりにも重かった。

 卒業後の京都入団が内定している中村は「今日は気持ちの面で負けていた」と完敗を認めた。夏の全国総体では流通経済大柏と両校優勝。激戦の千葉県大会も準々決勝以降はすべて完封勝利で全国大会へのキップを手にした。前回大会は同じ千葉代表の流通経済大柏が全国制覇。市立船橋にとっては4大会ぶりの出場となった今大会も当然、日本一だけを狙って参戦したが、あまりにも早すぎる幕切れに選手たちの涙はいつまでも止まらなかった。

<写真>まさかの初戦敗退に泣き崩れる市立船橋イレブン

(取材・文 西山紘平)

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