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[選手権]機を逃さずギアチェンジ!藤枝東が2年越し悲願へまず1勝(境vs藤枝東)

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[1.2 第87回全国高校サッカー選手権2回戦 境 0-4 藤枝東 等々力]

 等々力陸上競技場の第2試合では昨年度の全国準優勝校・藤枝東(静岡)が大分加入内定のFW住田貴彦、岐阜加入内定のGK重成俊弥(ともに3年)を擁する境(鳥取)と対戦。藤枝東が4-0で勝ち、1970年度以来の優勝へ好スタートを切った。藤枝東は明日3日の3回戦で大津(熊本)と対戦する。

 「監督からは『ここぞのところでギアチェンジできるチームになれ』、と言われている。試合開始直後、得点を獲った後に圧倒できるチームを目指してきた」。司令塔の10番・MF藤田息吹(3年)がそう語ったとおり、藤枝東は機を逃さない試合運びで「想像以上のスコア」での白星を得た。

 試合開始から藤色のユニフォームがラッシュを仕掛けた。鋭い出足で局面を制しにかかる。そして前半3分、右サイドを突破したFW村松一樹(3年)の折り返しをMF蓮池柊兵(2年)が右足で沈めて先制。藤枝東・大石、境・廣川両監督が「大きかった」と振り返る、このキックオフ直後の一撃が試合の流れを大きく傾けた。リズムに乗れない相手に対し、藤枝東は前半18分にも左CKを188cmの長身FW新井成明(3年)が頭で叩き込み2-0。また藤田、MF小林勇輝主将(3年)を中心に豊富な運動量で動き回り、相手のミスを誘発。境を前半シュート3本だけに封じる完璧な内容で試合を折り返した。

 後半、「次の1点が大事だと思っていた」と大石監督が語ったゴールも藤枝東がゲット。9分に縦パスを受けた村松がそのまま持ち込み右足でゴールを破った。すると、16分には住田にボールを集めて反撃しようとする相手のゴールを小林が右足ミドルでこじ開けて4-0。この時点で勝敗の行方はほぼ決した。

 昨年度の全国準優勝校・藤枝東だが、残っているレギュラーは小林と藤田、昨年はFWだったCB岡崎太一(3年)の3人だけ。U-19日本代表DF村松大輔(09年より湘南)やMF河井陽介(現慶應義塾大)ら年代別日本代表選出歴を持つ選手5選手らが卒業し、指揮官も勇退した服部康雄前監督から清水、磐田などでコーチを務めていた経歴を持つ大石和孝監督へ変わった。サッカーのスタイルも河井を中心としたパスサッカーで決勝まで勝ち進んだ昨年度とは違い、今年は運動量で相手を上回るスタイル。華麗さよりも静岡県大会準々決勝以降の3試合を1-0、1-0、2-0で競り勝った堅い守りと勝負強さの方が目立っていた。

 昨年よりもタレントで劣ること、加えて初戦が前評判の高かった境ということで地元メディアも苦戦を予想していた。藤田も「勝っても1-0か2-0かなと思っていた。4点は想像もしていなかった」と振り返ったが、藤枝東のミスの少ない正確なパス回し、そして運動量が相手を圧倒。また小林、藤田が正確に相手DFの裏へ落としていくパスに境の集中力は乱れた。そして試合開始直後、後半開始直後の得点が欲しい場面で“ギアチェンジ”してゴールを奪った名門は、試合の流れを相手に渡さず。「(大事な時間帯にギアチェンジする)やりたいサッカーができていたと思う」と小林が話す納得の勝ちっぷりで藤枝東が新たな第1歩を踏み出した。

<写真>藤枝東は4得点で快勝スタート。写真は前半18分に2点目を決めて喜ぶFW新井(右)と村松
(取材・文 吉田太郎)

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