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[選手権]“頭使う”鹿島学園が初の全国3勝(情報科学vs鹿島学園)

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[1.3 第87回全国高校サッカー選手権3回戦 情報科学 1-3 鹿島学園 三ツ沢]

 ニッパツ三ツ沢球技場の第1試合では初の8強入りを狙う情報科学(大分)と05年度以来3年ぶりの準々決勝を目指す鹿島学園(茨城)が激突。FW忍穂井(おしほい)大樹、DF阿渡真也主将(ともに3年)のゴールなど3-1で勝った鹿島学園が、大津(熊本)と戦う準々決勝(三ツ沢)へ駒を進めた。

 ポゼッション、サイドの攻防で相手を圧倒した鹿島学園が全国で初の3勝をマークした。過去最高の8強へ進出した05年度は2回戦からの登場だったために2勝のみ。翌06年度は1回戦から2勝しながらも3回戦で星稜(石川)にPK戦の末に敗れた。今年の全国高校総体も高知中央(高知)と青森山田(青森)を連破しながらも3戦目で鹿児島城西(鹿児島)に1-4で敗戦。それだけに一条(奈良)、野洲(滋賀)戦勝利に次ぐ念願の「3勝達成」に鈴木雅人監督は「(1大会での)3連勝がなかなかできなかった。(選手たちは)よくやってくれたと思う」と表情を緩めた。

 2回戦で優勝候補の一角・野洲戦を逆転につぐ逆転の末に制した勢いは、この日も続いていた。前半風上にたった鹿島学園は開始からMF小谷駿介、小黒翔太(ともに3年)ら中盤と再三右サイドを駆け上がったSB阿渡を中心に完全にボールを支配。1タッチ、2タッチでテンポ良くボールをまわし、ややプレッシャーの甘い情報科学を敵陣に押し込む。そして幸先の良い2点で試合の流れを大きく引き寄せた。
 10分、小谷を起点に左サイドを駆け上がったDF金井洵樹(3年)がクロス。これを166cmのFW忍穂井が頭で叩き込むと、13分には右サイドを持ち前のスピードで破った忍穂井のクロスを中央へ移動していた阿渡がダイビングヘッドでゴールに沈めた。さらに一方的に攻め込む鹿島学園に対し、情報科学はFW高平幸樹、高橋良太(ともに3年)やMF宮本佳明(2年)が縦パスに走りこむが前半はシュートわずか1本に抑えられた。

 後半、高平や途中出場のMF岡本武(3年)のミドルシュート、MF河野斗馬(3年)の中央突破などで流れを傾けようとする情報科学に対し、鹿島学園は押し込まれる時間が続いたが、あせらずにカウンターから反撃。そして29分、小黒が右サイドから個人技で切れ込みそのままダメ押しの3点目を奪う。情報科学は37分に右CKのこぼれ球をMF瀧本貴哉(3年)が右足で押し込み2点差としたが、反撃はここまで。前半は鹿島学園に上手く攻められ、後半は上手く守られてしまった感のある内容で敗退した。

 初の1大会3勝をマークした鹿島学園・鈴木監督はFW佐々木竜太(現鹿島)を擁して8強へ勝ち上がった05年度のチームと現チームを比較して「前回の方が絶対のストライカーがいた。ただ、今年の方が全体で前に出たり、耐えたり、引いたり頭の使った戦い方ができている」と評価した。試合の中で中央に移動してゴールを叩き込むなど流れを読んだプレーを見せた阿渡は「今年はどこのチームにもチャンスがある。上を目指したい」。PK戦、逆転勝ち、先行逃げ切り勝ちと勝ち方は様々ながらもチームの歴史を塗り替えた鹿島学園。次は初の4強進出へ闘志を燃やしている。

(取材・文 吉田太郎)

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