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[選手権]PK戦で勝負強さ見せた四中工、ベスト8進出(四日市中央工vs筑陽学園)

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[1.3 第87回全国高校サッカー選手権大会3回戦 四日市中央(三重)0-0(PK4-2) 筑陽学園(福岡) 駒場]

 駒場スタジアムの3回戦第2試合のカードは、四日市中央工(三重)vs筑陽学園(福岡)。2回戦で山形中央(山形)を下し勝ち上がってきた四中工は、1・2回戦無失点連勝の筑陽をPK戦の末4-2で沈め、準々決勝に駒を進めた。四中工は5日、準々決勝で広島皆実(広島)と対戦する。

 「筑陽の2トップとMF松本へのリスクマネジメント。相手の良い所を消す事を第一に考えた」。樋口士郎監督(49)の計算通り、四中工は前半から果敢にプレスを仕掛け、攻撃では右MF稲森睦主将(3年)を起点にパスをつなぎながらチャンスを窺う。筑陽も判断が早く身のこなしが軽いボランチのMF松本翼(3年)を起点に攻撃を組み立てるが、互いにリスクを冒さない試合運びの前になかなか決定打が打てない。前半は四中工が7本のシュート、筑陽は僅か1本で終えた。

 後半に入ると運動量が落ちた筑陽に対し、四中工が安定したパスワークを見せ、決定機を迎える。後半9分、ゴール前でルーズボールを奪取したMF近藤悠矢(3年)がPAに侵入しシュート。後半28分には、右サイドから上がったクロスのこぼれ球をFW榎信博(3年)がシュート。その後もMF稲森らが瞬発力、キープ力に優れるFW榎に何度も好パスを送るが、筑陽のDF牟田雄祐主将(3年)、DF手島健太(3年)らの鉄壁の守備の前に、チャンスをことごとく潰された。「今まで戦ったCBの中で最も強い」とエース榎が舌を巻く程の守備を見せた筑陽だったが、攻撃面では流れの中から打開が図れず、時間だけが過ぎていった。互いに相手の良い点を消す戦いぶりで試合は遂にPK戦へ突入。

 「自信をもって蹴って行け」と四中工・樋口監督が選手たちを送り出すと、選手たちは見事に応えた。四中工1人目のキッカーは主将のMF稲森。ゴール右中段にシュートを決めた。「稲森先輩が決めた瞬間、勝ったと確信した」というGK村井泰希(1年)は、筑陽の1人目・MF松本の右中段のシュートを右の掌でブロック。筑陽は更に3人目のFW原孝徳(3年)が枠外へ外し、これが決定打となった。PK戦を4-2で制した四中工がベスト8入りを果たした。
 
 「我慢強くPKで勝ったこの勢いに乗って次の広島皆実に挑みたい。しっかりと分析をして勝ちます」。そう指揮官が言うと、主将の稲森も「同じように力を出し切って戦います」。さあ、いよいよ国立へ続く階段が見えてきた。

<写真>PK勝利を果たし、歓喜の輪を作った四日市中央工の部員達

(取材・文 山口雄人)

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