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[選手権]じん帯損傷の香川西・登里、足を引きずり懸命にプレーも(香川西vs前橋育英)

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[高校サッカー注目選手クローズアップ]

[1.3 第87回全国高校サッカー選手権大会3回戦 香川西(香川)0-1前橋育英(群馬) 市原臨海]

 悲壮感を漂わせながら、香川西(香川)のMF登里亨平主将(3年)は懸命にプレーした。2回戦の市立船橋戦で左ひざのじん帯を損傷。主将としての責任感、選手権に懸ける思いから強行先発に踏み切った。左ひざにはガチガチにテーピングを巻いていたが、気持ちで補えるほど軽いケガではなかった。接触のたびにピッチにうずくまり、まともに走ることもできなかった。足を引きずりながらボールを追う姿はあまりにも痛々しかった。

 「正直きつかった。力が入らなかったり、試合中ずっとじんじんして痛かった」。ハーフタイムには大浦恭敬監督に「代わるか?」と確認されたが、「交代したくなかった」と後半もピッチに立った。だが、限界だった。大浦監督は後半6分に交代を決断。ピッチをあとにする登里はあふれ出る涙をユニホームでぬぐった。

 「交代してからしばらく泣いていたけど、トレーナーに“仲間を信じろ”と言われて」。顔を上げ、ベンチからチームメイトを鼓舞した。結果は0-1の惜敗。「万全の状態で挑みたかった」とうつむいたが、「初めて外から見て、いつもは分からないみんなの気持ちが見えた。チームプレーは大切なんだなと思った。僕がいないときの方がよかった。交代したくなかったけど、勝負の世界ではそういうのも大事なんだなと勉強になりました」と素直な心境を吐露した。

 「サッカー人生で一番濃い3年間だった」。卒業後は川崎Fへの入団が内定している。「この悔しさを忘れず、プロの世界で成長していきたい」。どんなに足が痛くても最後までプレーにこだわった負けん気と、チームメイトへの感謝の気持ちをいつまでも忘れずに、さらなる飛躍を遂げてほしい。

<写真>左ひざのじん帯を痛めながら強行先発した香川西MF登里亨平。交代でベンチに下がると思わず涙が…

(取材・文 西山紘平)

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