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慶應義塾大ソッカー部主将戦記

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ジャイアントキリングとは言わせない

 関東大学1部リーグ第7節、昨季2戦2敗だった中央大学との試合は、開始5分にMF中町公佑(4年=高崎高、前湘南)の直接FKで先制し、その後、被シュート4本に抑えて、1-0の完封勝利。3試合ぶりの勝ち点3を手にしました。

 リーグ日程の約3分の1を経過した関東大学リーグ(5月15日現在)。連覇を目論む流通経済大が無敗で首位に立ち、昨季は下位に終わったものの優勝争いの実績も人材も豊富な明治大がこれに続きます。逆に前評判の高かった国士舘大や専修大は、勝ち点を伸ばしきれずにいるといったところでしょう。そうした中で慶大ソッカー部は、勝ち点14(首位と4差の)現在第3位。総理大臣杯のシード権も獲得する事ができました。

 昨今、「ジャイアントキリング」なる言葉が、サッカー関係者やファンの間で好んで用いられるようになってきています。セルティックがマンチェスターUに勝ったり、モンティディオ山形(今季J1昇格)が鹿島アントラーズ(J1王者)に勝利するような、「格下のチームが、格上のチームを倒す大金星(番狂わせ)」を指す言葉。モーニングに連載中の人気サッカー漫画のタイトルとしても有名です。主にカップ戦などで用いられるので若干の語弊があるものの、昨季2部から昇格してきた慶應ソッカー部は、まさにセルティックやモンティディオに当たる格下チームにあたりますが、今季1部リーグの巨人達を次々に倒し、「ジャイアントキリング」を連発しています。

 実際、格下チーム(2部から昇格してきたチーム)にとって、トップリーグでの戦いは簡単なものではありません。チームや個人としての経験、スポーツ推薦制度による選手層、学校側のバックアップ体制。1部常連校との違いは歴然としています。それゆえ昇格の歓喜を味わった1年後には、また2部リーグに逆戻り、という例は珍しいものではなく。Jリーグを見ても、1部リーグに所属するチームの大半は、1993年の創設からずっと在籍し続けているチームです。
 昨季2部で圧倒的な強さを見せた慶應ソッカー部においても、例外ではなく、今季は厳しい状況が予想されていました。しかし、始まってみれば中盤の華麗なパスワークは健在で、美しいパス回し、スムーズな集団の波。頭脳的でコンパクトな守備とブロック形成と慶應魂のこもった厚い壁。関係者の中からは多くの称賛の声をいただいています。(ちょっと褒めすぎですね。恐縮です。)ただ間違いなく言えることは、慶應はもはや「格下」ではありません。自分達のサッカーに自信を持ち、挑戦者としての気概を持ちつつも、チーム内には、堂々と迎え撃つという雰囲気さえ漂っています。
 開幕から常に120%で突っ走ってきた“勤続疲労”は、顕著に現れてきていますし、「層の薄さが出ているが、皆で一丸となって頑張るしかない」と李監督が言うように、2部からの昇格組みゆえのディスアドバンテージもあります。しかし、7年間の苦節を超えて1部の切符をつかんだように、強者(格上)としてのプライドを持って、「ジャイアントキリング」を全力で防ぎたいと思います。

 余談ですが、筆者、最近「新型シュート入らないウィルス」に感染しました。もはや、フェーズ6のパンデミック状態です。特効薬は無さそうなので、地道にシュート練習して、次節は決定機を決める事ができるよう法政大学戦、頑張ります。

※本コラムは不定期更新です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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