beacon

慶應義塾大ソッカー部主将戦記

このエントリーをはてなブックマークに追加

学生主体

「控え室の使い方が汚すぎる。トップチームの選手、いつも慶應の控え室がきれいなのは、Bチーム・Cチームの選手が試合後、掃除してくれているからということを忘れるな。」試合後の全体集合で、主務の小坂井の発した言葉が、今節の試合の全てを物語っているように感じました。第11節東海大学との一戦は、「1-2」の敗戦に終わり、結果・内容全てに於いて最悪の前期最終戦となってしまいました。
関東大学サッカーリーグは、4~6月の前期と9~11月の後期に分けられ、12チーム各期総当りの計22試合で年間チャンピオンを決めます。総理大臣杯・インカレ・天皇杯等の大会があるものの、基本的に大学サッカーは、このリーグ戦を軸に年間スケジュールが組まれていくということになります。そうした意味で今回の東海大学戦は、前期の「総決算」と言うべき、一つの区切りと位置づけていました。
しかし、いざ試合では、注意散漫な動き、お互いをカバーしあう意識の欠如、何より、この一戦を絶対にもぎ取るという意識が、絶対的に足りませんでした。そして、こうした雰囲気は、キックオフ以前の前泊から始まっていたと後悔したのは、ハーフタイムに李監督から叱咤されてからでした。

学生主体。これは、「(独立自尊の精神に端を発し、)学生一人ひとりが人に頼ることなく自らを律し、学生が自立して組織を高めていく」という意味であり、弊部の伝統として大切にされてきた制度・気概です。現在も福井総監督や李監督など、社会人スタッフはいますが、運営面は主務、サッカー面はグラウンドマネージャー(学生コーチ)を中心に学生が、全て管理しています。今節に於いても、当然ながら、前日の練習、宿泊、食事、ミーティング全て学生だけで行いました。…ただ、移動するバス内の雰囲気に始まり、食事の片付け、挨拶、控え室の使い方、チーム行動において、何が必要なのかを各個人が考え、学生だけできちんとした準備をするという、当たり前に行われてきた事が疎かになってしまっていました。最もだらしのない集団。学生主体とは正反対の集団、これが全てでした。また、こうした危機的状況を前にして主将として注意を怠ったことが最も重大なミスですし、ハーフタイムに李監督が一喝したように、きちんと警笛を鳴らすべきだったと後悔しています。雰囲気が悪くなることを恐れ、注意を渋ったことへの反省にも増して、敗因の所在が、こんなにも幼稚なことにあるのが、恥ずかしく残念です。

前期のリーグ戦は、自信が過信となり、経験がスキになってしまいました。特に残り3節を1分2敗としてしまったのは、トップチームの選手が、予想以上の成績を収めていたことに慢心し、学生主体の所信を忘れたことが原因であることは間違いありません。リーグ戦で活躍することを目標に、練習に励みながらトップチームを支えている「他の部員の分まで」というような気持ちを再任する必要があるでしょう。そうした意味では、お互いに高め合う学生組織の強みを確認し、自分達の行動を見つめなおす好機なのかもしれません。
総理大臣杯まで時間がありませんが、全国大会出場へ崩壊したチームの再建を、自立した学生の力で進めていきます。

(写真)試合後、データ解析を行うグラウンドマネージャーの市川慎士

※本コラムは不定期更新です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

TOP