beacon

慶應義塾大ソッカー部主将戦記

このエントリーをはてなブックマークに追加

「美味しいご飯」と「素敵な言葉」

 この2週間、辛い地獄も経験し、チームとしても主将としても再出発へ向け充電させていただいておりました。楽しみに(?)待ってくださっていただいた方、ごめんなさい。そしてありがとうございます。

 忘れもしない6月13日の総理大臣杯関東予選。大阪で開かれる全国大会出場を目指し、高い意識を持って臨んだ尚美学園大戦は、3-4とまさかの敗戦に終わりました。関西方面の友人には、全国大会での再会を約束し、大学では未だ出場したことのない全国大会へ強い執着を持っていただけに、敗戦のショックは胸に突き刺さり、凄く辛い日々でした。
 ただ一方でこの数日間のオフを利用し、貴重な時間を過ごす事ができました。それは、今、社会人として活躍している先輩方と食事をしながらお話を伺う機会があったことです。正直、情けない敗戦後では、気持ちも乗らず億劫な気持ちでしたが、同じソッカー部の畑で育ち、またより大きな畑でさまざまな経験をされてきた先輩からの言葉は、本当に温かく実りあるものになりました。

 筆者が1年生の時、4年生として主務で活躍されていた先輩に、現状と思いを投げかけた時、こんな言葉をくれました。「ヤス(筆者)の話聞いて、そんなに力まなくていいんじゃない?ともちょっと思ったけど、歩きながら思い出したら俺もチームの為、勿論自分の為にも必死だったわ。“それできっといいんだな。”俺が四年生の時は、もっと地獄絵図になっていたよね。ほんとにどうすればいいのか毎日考えていたし、今ヤスが考えていることで死ぬほど悩みました。でもそれはそれで、もっと楽しんだほうがいい。ヤス、こんな幸せなことないぞ!苦労も掛替えのない経験だし、思いっきり考えてぶつかって。ヤスらしく一生懸命やれば、楽しく、嬉しい結果が待っていると思いますよ。
勉強もねコンパもやろうと思えば永遠に出来ますが、ソッカー部でのサッカー生活は半年、国立での早慶戦はあと一試合しか出来ません。柔軟に考える必要は無く、サッカーを頑張れば良いと考えます。」

 某企業役員の先輩とオーケストラ仲間の方からは、主将としての自覚を諭していただきました。「『主将は、コンサートマスターだよ』、監督が指揮者なら、最も指揮者に近い場所にいて主旋律を担当する1stヴァイオリン奏者こそが、主将の役割なんだよ。時には「俺が中心」というある種の傲慢さや強引さ、カリスマ性が必要になる。一方でリハーサル時のバラバラ演奏を率いるのもコンマスの仕事だから、誰もが認める技術と傾聴の力量も欠かせない。何しろ練習から80名ものオーケストラ全奏者をまとめ、演奏会の出来はコンサートマスターに委ねられるのだから責任重大。誰もが認める技術だけでなく、時には風格だって、語学力だって、人格全てに超一流が求められる役職なんだよ。
目の肥えた観衆なら、コンマスの態度一つでオーケストラ全体の出来がすぐわかる。君がしょげていたらどうなるかわかるだろう?」

 同じ学部で、社会人として1年目で頑張っている先輩からは、「意外と社会人もサッカーと同じかもよ。一生懸命やってみないとわかんないこと一杯あるからね。上司によく言われるんだけど『幸せの基準が高いから悩み塞ぎ込んじゃうんだ。』って。契約してもらう事が幸せなんじゃない、名刺もらえること、挨拶してくれることそれ自体が幸せでしょ。全試合勝てることはそりゃ嬉しいけどね。でもそうじゃない。一生懸命みんなで勝つために頑張る事が幸せ。ヤスを含め四年生は、言わなくてもサブの選手や出れずに仕事を頑張ってくれる部員の想いを背負ってくれるんだから、あんまり自分にプレッシャーかけないで、いつも通り楽しく、ヤスらしくやってほしいな。」

 西が丘から始まった今シーズンの長い道のりは、序盤の爆走・快走に始まり、心臓破りの坂も凸凹道も乗り越えて中継地点まで走り抜けてきました。終盤は、トップ集団のハイペースにおいていかれましたが、ここからが正念場。前を見て、がむしゃらに付いていけば、自然と光が見えてくると思います。
 6月28日。来週に迫った早慶戦へ気持ち新たに頑張ります。

※本コラムは不定期更新です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

TOP