報われない努力はない。
今までの人生で多くの人とサッカーを通じて出会ってきました。中にはそのプレーに驚愕し自身のサッカー観が変ったプレーヤーもいるし、尊敬する選手も多々います。
ただ“人間としても尊敬している選手”は正直なところ僅か。
しかし今回のコラムで紹介する選手は紛れもなくその存在といえます。
その人は、先日2-0で勝利したびわ湖大との試合で、大学リーグデビューを飾った4回生の岸本直(奈良育英高)です。
高校まで各年代のナショナルトレセンを経験してきたエリートも、選手層の厚い阪南では苦難の連続でした。
1年時からトップチームに所属していたものの、入れ替え戦では途中出場の直前に試合が終わるなど公式戦出場なし。3年から今夏まではまさかのBチームと心が折れそうになる程の不遇とも言える時を過ごして来ました。
しかし彼はそこから逃げずに前向きにサッカーと向き合ってきた。そして誰よりも努力してきました。
それでも岸本は言います。
「人より努力してると言われるのは好きじゃないし、しているつもりもない。必要なことをしてるだけだよ」
その言葉に異常なまでのストイックさを感じます。
「勝ちたいとか、成長したいと言ってるだけではいけないんだ。
チャンスは全ての人間にあるけどそれをものに出来なければ意味がないし、頑張っていても結果が出せなければ話しにならない。むしろ結果が出せる人は努力なんてしなくていい。
でも俺はやり続けなければいけないタイプ」
阪南がチームとしてまとまりを見せ始め、後期を連勝でスタートできたその要因は、この副キャプテンがトップチームに戻ってきたことが大きいことは間違いありません。
「強いチームは必ず1つの方向を向いていると思う」
大事なピースが加わった阪南はインカレに向けて突き進みます。
1年程前だろうか。練習後2人で話しをしていた時に彼から聞き、それ以来筆者が自身の座右の銘とした言葉がある。
“報われない努力はない。もし報われていないのなら、それは努力ではない。”
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