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慶應義塾大ソッカー部主将戦記

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Barcelonaでの出会い

 表題と全く関係ありませんが、先日、天皇杯で明治大が湘南ベルマーレを破り、水戸ホーリーホックを福岡大が、徳島ヴォルティスを鹿屋体育大が破りました。「天皇杯でプロ撃破(ちょっとテレビ出演)」を我々も志していただけに、羨望の眼差しでニュースを見ていましたが、同大学生として、その勝利を嬉しく思いましたし、賛美と次戦への期待を送りたいと思います。

 大学サッカーリーグは、この天皇杯の日程に合わせて1週分の中断期間になっていました。戦術の修正期間、身体のケア期間、秘密兵器の発掘期間、いろいろな要素を加味した一週間でしたし、何より改めてチームを客観視することができ、心身ともにリフレッシュすることもできました。

 私個人としても、この中断期間を有意義に活用でき、特に先日は、あるエージェント会社代表取締役の方と会食の機会をいただきました。エージェントとは、いわゆる代理人です。弁護士資格保有者もしくは、JFA及び各国のサッカー協会実施の資格試験合格者のみ認められており、選手の契約交渉やサポートといったマネジメントを担うだけでなく、スポーツイベントの企画や、訪日外国サッカー関係者のアテンドなど、様々なインターメディア業務を担っています。因みにJFA公認エージェントは、現在24名だそうです。

 では何故、辣腕エージェントと凡大学生が会食しているのか不思議に思われるところですが、始めてお会いしたのは、実は5年前になります。静岡県高校選抜としてスペイン・バルセロナ遠征へ参加させていただいた際に、遠征のコーディネートをしてくださったのが、氏であり、そこからのお付き合いで、今回この機会をいただいたというわけです。(個人的なプロ契約云々の話ではなく、単純に普通の会食です。誤解が無いよう予め。)

 私にとっては、このバルセロナ遠征が、非常に掛替えのないものでした(ちょっと回想)。MIC(Mediterranean International Cupという国際大会)を通じて、ユース世代のマンチェスターユナイテッドやエスパニョールと対戦し、世界レベルを痛感。共同宿舎では、FCバルセロナやバイエルンミュンヘン更にはU-17ブラジル代表の選手たちと拙い英語やスペイン語・ボディーランゲージで対話し、交流を深めたことも素敵な経験でした。それ以上にカンプ・ノウや周辺地域の施設を見て、クラブバルセロナの先駆的なスポーツマネジメント、スポーツが地域に息づく姿を目の当たりにした事も強烈なインパクトがありましたし、中世と近代が調和した建築物や景観、「Ola!」と気さくに声を掛け合う陽気な地元の方々、ランブラス通りやサクラダファミリアといった観光地のみならず、街中でカタルーニャの歴史や伝統、文化を実感する事もできました。
 高校年代にこうした貴重な体験をさせていただいたことには、本当に感謝ですし、静岡県サッカー協会の方には、心から感謝しております。

 会食では、エージェント業務を通じた様々なお話を伺うことができました。プロ選手の契約問題、移籍の裏側、また今後社会人になる身としても、海外との取引や交渉など、大変有意義なアドバイスをご指南いただく事もできました。
 日本のスポーツ界において、野球選手本人が、オフシーズンに年俸の提示を記者会見する姿をテレビで見ますが、まだまだ、代理人制度は根付いていないようです。(某球団は、「エージェントつけたら解雇する」とか言ってましたよね。)エージェントには、賛否両論意見ありますが、かつてみたバルセロナの先駆的なスポーツマネジメント同様に、日本においても内包する諸問題を取り除き、代理人による選手第一主義の総合的マネジメント(制度)が、世界的に発信できれば素晴らしい事だと思います。サッカーへの携わり方は、いろいろだと思いつつ、海外遠征のコーディネートや海外との移籍交渉等、橋渡し役として日本サッカー界に貢献できる(一方で重責を担う)仕事は素晴らしいなと、強く刺激をうけました。どういった形であれ、私自身、いつか日本サッカー界に貢献できるような、国益を担う何かにチャレンジしたいと思いました。

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