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慶應義塾大ソッカー部主将戦記

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信頼

先週の対流通経済大戦は、“The game of this year”の位置づけ。乾坤一擲の打ち合いを挑んだものの、立ち上がりの起(奇)襲を喰ったことが最後まで響き、結果1-1の引き分けに終わってしまいました。

累積・怪我、シーズン後半に入るところ、チームの選手層や総合力が問われる戦いが強いられてきます。昇格一年目のソッカー部においては、かなり強めのアゲインストを感じずにはいられませんが、その風を浮力に変えるように、下級生たちが飛躍してくれています。前節の終盤ピッチ上に立たったのは、多くの1年生(5選手)、2年生(4選手)でした。彼らが首位流経大の面々に屈せず躍動する姿は勇ましく、頼もしく思えました。

そんなソッカー部の一年生、二年生。週中の夜には、合宿所の一室に会し、“ミーティング”に暮れます。というのも、「リサーチ(対戦相手や自分達の分析)」や「副務(部の運営、後に主務)・学連(大学サッカー全体の運営)」を決める話し合いを進めているからです。ただこの“ミーティング”、ソッカー部に於いては、一般的意味のそれとは、一線を画すものだといえます。まず何より時間数として膨大。おおよそ1回に2~3時間で、これまで何度やったか覚えていませんが、今振り返れば、数百時間を優に越します。(時間的な拘束ゆえに、彼女に愛想を尽かされてしまった部員も多いとか、多いとか多いとか…。閑話休題。)
議題は上記「係り・役職決め」が本筋ですが、「各チーム各選手の練習・仕事取り組みに、不出来があれば厳しく指摘し合う」ことなど、チームの総合力を高めるため、多岐に渡ります。特に今、二年生が進めている学連や副務を決める議題では、運営諸業務からチームに貢献する「代表」を全会一致で決める話し合いゆえに、中々話が纏まりません。
また副務や主務は、選手としての取り組みを断ち、住み込みでマネジメントに従事しなければならないという事も難儀に拍車を掛けてしまいます。私達の時も全く大げさではなく、時に罵りあい、胸座摑み合い、涙流して話し合いました。些か“体育会的”と揶揄されても仕方ありませんが、この経験を通じ、お互い腹割って、骨の髄まで語り尽して得た信頼は、何にも変え難く、今はチームの源泉となっています。

とはいうものの、下級生だった頃の私は、「サッカー部でサッカーをする為に入部したのに、サッカーを辞める!?」という矛盾を孕んだ“ミーティング”に疑問を持っていました。始めから結論が出るはずもない。本当に途方もない話し合いなのではないかと不思議に思っていました。しかし、今。

「シン(主務)の分まで、背負ってリーグ戦を闘う」という私の信頼と「ヤス(私)が最高の状態で試合に臨めるよう、万全のマネジメントをする」という主務の信頼、この信頼関係を持ってソッカー部の両輪が駆動し、また全てのスタッフやマネージャーとこの不屈の信頼を共有しているからこそ、チームが全力走行できていると実感できます。

長く密な“ミーティング”を経ていく中、悪所があればトンカチ打って、足りない力は張り板補修して、喧々諤々完全なコンセンサスを得るまで何百と修理を重ねた 「“信頼”のマイカー」は、スマートなハイブリッドカーではないかもしれません。まして背負うものも大きい我が家の「中古トラック」ですが、シーズン終盤の荒れた不毛地帯に対峙した時、留まることなく駆け抜けることができる耐久性が備わっています。
エンジン全開で、いざOVER-TAKE!!

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