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玉乃淳の玉手箱

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「カンプノウでの記憶」

 皆さんこんにちは。だいぶ暖かくなり、先日のチャンピオンズリーグでのバルセロナの敗退で負った心の傷も多少癒えてきました。今はリーガでのタイトル争い、アトレチコのUEFAカップと国王杯での決勝に向けての心の準備、そしてチャンピオンズリーグ決勝にむけて、着々と自分もコンディション調整の為、毎朝のランニングとNHKで龍馬伝を見る事を日課にしている今日この頃です。

 それにしても、先日のバルサ対インテルでの試合で見せた両チームの戦いぶり。多少、心の傷は癒えたとはいえ、ふとしたときに思い出してしまう、あのなんとも言いがたいワンサイドゲーム。インテル側がとった戦い方は総合格闘技に例えて言うなら、モハメド・アリ対アントニオ猪木の試合で、まともに戦ったらボコボコにやられてしまうと分かっていた猪木が、試合を通して寝そべりながら、相手のパンチを受けないで、なおかつ、戦わずして負けない手法で試合を行ったプロスポーツ界では異質の試合が先日、大舞台チャンピオンズリーグ準決勝という場面で見られたわけです。

 スペインサッカーが大好きな僕はモウリーニョが率いるチーム、過去にはチェルシー、現在はインテルですが、どうも好きになれません。カウンターサッカー、相手のストロングポイントを消すスタイル、リスクを減らしたフィジカル主体のロングボールを多用した退屈なサッカーというのは僕が抱いている勝手なイメージです。ところが今回そんなサッカーが2試合合計180分の試合での勝者としてファイナルに進出したわけです。

 レギュレーションの関係もありましたが、カンプノウでバルサと戦うときは絶対に攻める意識を持たないこと、攻撃的なスター選手にも例外なくその意識を持たせることなどをモウリーニョはスター選手にも実践させました。これらはバルサの力を知り尽くしている者、カンプノウというポートグリフ(遺跡)を攻略できる唯一の方法なのです。それを謙虚に認めカンプノウで勝つ為の手段を選び、最高のリスペクトをはらって戦ったモウリーニョ・・・悔しいですがスペシャルワンである事を感じざるおえませんせした。

 僕も以前ヴェルディジュニアユースのときに参加した世界大会の準々決勝で、バルサとカンプノウで対戦したことがありますが、そのときの記憶が一切ありません。ほかの試合の事は鮮明に思い出せますが、カンプノウでの試合だけどうしても思い出せないのです。当時のほかの仲間とも話をしますが、誰一人として試合内容のことはよく思い出せないのです。あの場所にはバルサの歴史が詰まっており、相手の記憶をも消す特別な何かが潜んでいるのです。

 歴史は繰り返される・・・いい意味でこの表現を使えるのであれば、日本サッカー界にも坂本竜馬のような存在が求められているのではないかと思います。“開国”できるのはあなたかもしれませんよ(笑)

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