日本でも南アでも過熱する日本代表フィーバー
[6月28日午前2時@ヨハネスブルク]
決勝トーナメント進出を決めた日本代表。6日からベースキャンプを張っていたジョージを引き揚げ、29日の決勝トーナメント1回戦・パラグアイ戦の舞台となるプレトリアに移動してきました。
僕が拠点としているヨハネスブルクからプレトリアまでは、車で片道1時間程度。これまで代表戦の前日と当日以外は海外の国同士の試合の取材に行っていましたが、今日からは日本代表に張り付き、勝ち進んでいく限り、どこまでも追いかけていくことにしました。
日本の活躍は現地でも高く評価されています。今日も南アフリカの人に「日本はブラジルのようだ。前に前にアグレッシブで、かつパス回しもうまい。前に早いだけのイングランドよりもいいサッカーをしている」と絶賛されました。パラグアイ戦の予想スコアを聞くと、「2-0で日本の勝ち」と即答。「決勝はガーナ対日本になるといいね」とまで言われ、素直にうれしかったです。
日本でもかなり盛り上がっているという話はよく聞くのですが、現地にいると、選手同様、報道陣にも実感はありません。ある意味では毎日が淡々と過ぎていってます。そんな中、今日、日本での盛り上がりの一端を感じる出来事がありました。
とある女性誌の編集者から突然電話があり、「日本代表の特集記事を組みたい」とのことで電話取材を受けたのですが、その中でこんな質問を受けました。
「やっぱり川崎の調子がいいんですか?」
「川崎ってだれ?」と頭をめぐらせ、よくよく聞くと、GKの話。川崎ではなく、川島のことでした。
普段、サッカーの記事がほとんど載ることもないであろう女性誌の編集者であれば、代表選手の名前を知らなくても仕方ありません。間違い自体はなんとも思いませんでしたが、そういう雑誌でも日本代表を取り上げようとしていることに単純に驚きました。
編集者がそうなのですから、読者も同じような感じでしょう。そういう人たちにもサッカーに興味を持ってもらえる機会がW杯なんだなと、あらためて痛感しました。こうやって少しずつでも代表の、そしてサッカーの人気が高まってくれれば、それが本当の意味で「W杯が成功した」と言えるのだと思います。
(文 西山紘平)