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南アフリカW杯便り

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やっぱり"GK泣かせ"だったW杯公式球

[7月7日午前4時@ケープタウン]

 今日は準決勝のウルグアイ対オランダの試合が行われ、オランダが3-2という打ち合いを制し、32年ぶりの決勝進出を決めました。

 オランダのファン・ブロンクホルスト、ウルグアイのフォルランのゴールはともに素晴らしいミドルシュート。フォルランのゴールはGKのミスにも見えましたが、オランダのファン・マルバイク監督は「今大会のボールは不規則に変化する」と守護神をかばっていました。

 W杯公式球「ジャブラニ」については、このコラムでも大会2日目に書いた「W杯公式球は本当に“GK泣かせ”か」で触れたように、GK同様に“キッカー泣かせ”でした。ミドルシュート、直接FK、センタリング、サイドチェンジ。長い距離のキックが思った以上に伸び、大きくゴール上に浮いたり、味方選手に合わなかったりする場面が目立ちました。

 ところが、試合を重ねるにつれ、徐々に選手がジャブラニをコントロールし始めたのでしょう。こうしたシーンが減ってきた印象を持っています。この日のように豪快なミドルシュートが決まる場面も増えてます。特にフォルランはガーナとの準々決勝でも直接FKを決めましたが、今日も得点シーンだけでなく、遠めからのシュートや直接FKで確実にゴールの枠を捉えていました。ジャブラニの“扱い方”を完全にマスターしたようです。

 大会が進みにしたがって、フォルランのような選手が増えてきているのは間違いありません。大会序盤は「ボールの影響でゴールが少なく、大会全体の魅力も失われている」とジャブラニを批判する声も多かったですが、確実に状況は変わって来ています。

 実際、グループリーグ全48試合で生まれたゴールは101得点で、1試合平均2.10点でしたが、決勝トーナメントではここまでの13試合で37得点。1試合平均は2.85点と“急上昇”しています。

 一発勝負のトーナメントになると、負けたくない心理から手堅い試合になることも多いですが、今大会にそうした傾向はあまり見られません。むしろ、ジャブラニが数多くのゴールを“演出”している感もあります。

 残り3試合となった南アフリカW杯。見る側としては、点の取り合いに期待したいですよね。やっぱり、ジャブラニは“GK泣かせ”でした。

(文 西山紘平)

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