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ドイツの未来を照らすミュラー

[7月10日26時@ヨハネスブルク]

 大会前に出場した国際Aマッチはわずか2試合。A代表デビューを果たした今年3月のアルゼンチン戦で、マラドーナにボールボーイと間違われた選手が、ここまで活躍するとは誰が想像していたでしょう。

 ドイツの新星、トーマス・ミュラーは20歳のミッドフィルダーです。所属のバイエルン・ミュンヘンではトップ下や右サイドを主戦場に、リベリー、ロッベン、ファンボメルといった各国代表や、ラーム、シュバインシュタイガーとともにプレーしています。

 昨年12月にリサ夫人と結婚。本当だったらこの6月は新婚旅行に行くはずだったそうです。

 結局、行先は南アになりました。その南アでは、オーストラリア戦で代表初ゴールを挙げ、イングランド戦で2ゴール1アシストのセンセーショナルな活躍。さらに準々決勝のアルゼンチン戦では開始3分に母国のワールドカップ通算200得点を決めました。

 そして3位決定戦では先制ゴール。現時点で得点王ランキングのトップタイとなる5得点です。

ところで、ミュラーと言えば『爆撃機』と呼ばれたゲルト・ミュラーが思い出されます。ゲルトのワールドカップ通算14得点はクローゼと並ぶもので、15得点のロナウドに次ぐ歴代2位の記録です。

 今日行われたウルグアイとの3位決定戦。ロナウド超えも視野に入っていたクローゼが、準決勝のスペイン戦で背中を痛めてしまったため、出番なく大会を終えました。クローゼはすでに32歳。次回出場は難しそうです。

 となれば、あと2、3回はワールドカップに出られそうなミュラーにかけられるドイツ国民の期待が、自ずと大きくなりそうですね。中盤の選手ですが、現代のサッカーでしたらロナウドを超える可能性は十分にあります。

 ベストヤングプレーヤー賞の獲得も間違いないでしょう。風貌も、ゴール前の落ち着きも、とても20歳には見えないミュラー。ドイツの未来は明るく輝いています。
(文・矢内由美子)

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