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東欧のサムライ熱戦記 by 瀬戸貴幸

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ルーマニア2部時代の苦闘
by 瀬戸貴幸

 みなさんこんにちは。瀬戸貴幸です。
前回はルーマニアでの3部時代の話をしたので今回はその翌年、2部時代の話をしたいと思います。

 3部リーグは6グループあり各グループの1位チームが2部リーグに自動昇格します。2位のチームは6チームでプレーオフを行い2チームが昇格でき、計8チームが昇格できる仕組みになっています。
 僕たちは3部リーグのグループで優勝し、2部リーグに上がることができました。3部のときは契約が1年だったので、ある日監督に呼ばれて『契約を更新するように代理人と話をしろ』と言われました。監督からまた来期も自分を必要としてくれたことがうれしかったです。そうして新たにチームと複数年契約しました。

 2部リーグはセリエAとBに分かれていて、それぞれ18チームずつあります。AとBといっても、単純に東部と西部に分かれているだけで、僕たちはブカレスト側の東部でした。2部はブカレストに強豪が集まっているため、東部の方がきびしいと言われています。
 2部のスタートは3部のときとは違い厳しいものとなりました。うちのチームはただ単に昇格を狙っていたので、そのためにシーズン(前期・後期)を終了あまり活躍できなかったり、出場機会がなかった選手は違うチームに行くんです。契約がまだ残っているのに、ある日突然監督からクビを告げられた選手も何人かいます。こうやって毎シーズンオフに選手はがらっと入れ替わります。そしていい選手がたくさん来て、その中での競争に勝てず、開幕戦は残り20分だけの出場となりました。そのときの感想は3部と2部ではこんなに差があるのかと感じました。選手個々のレベルとフィジカル、スピードすべてが違う「2部のサッカー」のリズムに慣れるまでには時間がかかりました。

 その後4~5試合はメンバーに入ったり入らなかったり、入っても試合の出場機会はありませんでした。そのときはサテライトの試合に送られて、すごく悔しい思いをしました。サテライトと言っても日本のものとは程遠いです。ルーマニアは1部のサテライトがだいたい3部リーグに所属していて、2部サテライトは3部よりも明らかに環境は悪いです。日本でいうと市リーグみたいなレベルで、グラウンドはぼこぼこでまわりは牛や馬が放し飼いされていて、グラウンドにその糞なんかも転がっていました(笑)。その時『俺なにやってんだ…。こんなんじゃだめだ!』と思ったんです。ある試合では僕以外に2人サテライトに送られたんです。チームは11人しか居なくて、GKが負傷退場したんです、そしたらいきなり監督が試合に出ちゃって(笑)。なんでもありか? と本当に驚きました。その試合で僕以外のトップチームの2人は『なんでこんなところで…』とふてくされていたんですが、僕はしっかりやろうと思いやったんです。そうしたらその監督からトップチームの監督の耳に入り、またメンバー入りできるようになりました。練習でも走りなんかのときはいつも一番で走り、監督にアピールもしました。

 そういう日が続いて、チャンスが来たんです。カップ戦でメンバーに入り、先発ではなかったんですが、キャプテンが怪我をして負傷退場。そこに代わって入ってそこそこいいプレーをした。その後のカップ戦では先発出場し、延長戦で決勝ゴールを決めてチームはさらに勝ち進んだんです。その後のリーグ戦では初先発しそのときもアシストをして結果を出し、そこからレギュラーに定着していきました。キャプテンが怪我から復帰をしたときもそれは変わりませんでした。

 その後は毎試合先発でフル出場をし、コンスタントなプレーをして、チームのサポーターたちからも気に入られました。
 前期を3位で終え、僕は前期2部リーグの守備的MFとしてベストイレブンに選ばれました!

※本コラムは水曜頃更新予定です。コラムの感想やルーマニアでプレーする瀬戸選手への質問はこちらまでお寄せください。

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