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東欧のサムライ熱戦記 by 瀬戸貴幸

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ルーマニア1部への道
by 瀬戸貴幸

みなさんこんにちは。瀬戸貴幸です。前回と同様今回もルーマニア2部時代の話をしたいと思います。

2部の前期を3位で終えたにもかかわらず、チームのオーナーは納得がいかず監督をクビにしました。そのとき僕は前期を終えてバカンスで日本に帰っていたのですが、ルーマニアに戻ったら違う監督という状況です。それにはびっくりしましたし、また一からスタートということでどきどきもありました。またアピールをし直さなければいけません。監督に気に入られなければクビにされる選手もいます。そういうところはプロの世界ですごく厳しいとこっちに来て感じたところです。とはいえ、なんでもかんでも監督にあわせるようなことはしませんでした。監督が代わっても自分のよさは消さないようにしています。そのうえで監督の要求するプレーをすることですね。そうしないといくらうまい選手でも使ってはもらえません。

新しい監督は前の監督とは違いそこまでハードな練習はしない監督でした。だいたい1時間くらいでしたね(笑)。そうしたら案の定、試合では走れない選手も出てきたんですが。。シーズンは長いので、いい準備ができないと走れなかったり、怪我の原因になったりするので、やはりハードな練習が大切かなと思います。

監督が代わりプレシーズン期間にはトルコに行きました。冬の時期のトルコは暖かいのでヨーロッパのほとんどのチームがここに集まり、合宿をして練習試合なんかを行います。このコラムでも前に書きましたが、ちょうど同じホテルにサンフレッチェ広島も居て驚きました。僕はJの経験がないので知り合いは一人くらいしか居ませんでしたが、練習場も隣で食事も同じ場所だったので自分にはいい刺激になりました。

シーズンが始まり(後期)開幕戦は1-2で負けました。2試合目はホームで同じPloiestiのペトロールという伝統のあるチームとダービーをし、2-2の引き分けでした。この試合で僕は2部リーグ初ゴールを決めました。2部のリーグ戦で僕の唯一のゴールです。その後3~4試合で勝ったり、負けたりだったチームは昇格を目指していたので、後期の途中でまた監督を解任し、新しい監督を連れてきました。監督をはじめ、セカンドコーチや、フィジカルコーチ、GKコーチはセットで動くので総入れ替えになります。新しく来た監督はすごく年寄りの人で、戦術練習が大好きな監督でこの監督の練習は長めでした(笑)。それぞれの監督にはそれぞれのやり方があって、いろんな監督の言うことや要求を聞くことで自分のプレーの幅も広がっていったことは自分にとっては大きなことだったと思います。

その後チームは勝ち続け、残り1試合を残して1部の昇格を決めました。勝ち続けた理由はいろいろありますが、ひとつにはフィジカル面でいい準備ができたこと。あとは戦術的な面だと思います。最終節は2位枠を争っていたチームとの対戦でした。ホームで1-0と勝ち、気分よくシーズンを終えることができました。

正直ルーマニアに渡って2年で1部リーグに挑戦できるとは思っても、考えてもいませんでした。それでもチームとともに3部、2部、1部と来れたことはとてもうれしいですし、このチームでプレーできていることに感謝しています。ここに来るまでは、テクニックのある選手が、サッカーがうまい人だと思っていたのですが、それは間違いだと気づきました。そうではなくて、簡単にボールを失わないことや、『サッカー』を全体的に覚えることが大事なんだと気づきました。
ちなみに後期も守備的MFとして2部リーグのベストイレブンに選ばれました。それもチームメイトやサポーターのおかげだと思います。

こうして翌シーズンに念願の1部リーグに挑戦します。次回はその話をしたいと思います。

※本コラムは水曜頃更新予定です。コラムの感想やルーマニアでプレーする瀬戸選手への質問はこちらまでお寄せください。

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