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玉乃淳の玉手箱

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スペイン制覇を“25年のベテラン”が見ると……

 みなさん、こんにちは。また臨時コラムを書かせてもらいます。先日、スペインに行き、古巣のA・マドリーに引退の挨拶に行った話をしましたが、そこでまたまた懐かしい知人に会いました。

 その人はスペインに25年在住している日本人の方なんですが、今回“本場”を知る人はW杯をどう見たのか。スペインの優勝をどう感じたのかなど、コラムタッチで評論してもらいましたので、ぜひご覧ください。

=「スペイン在住25年の日本人が見た南アフリカワールドカップ」=

 少し時間がたちましたが、去る7月11日、オランダとスペインとの南アW杯決勝戦が行われました。この決勝戦に辿り着いた2チームには、実は共通したサッカー理論のルーツがあるのをご存知ですか……。

 そのルーツとはオランダのサッカークラブ・AJAX(アヤックス)です。さて話は1971年まで遡り……当時17歳にしてトップチームにデビューしたルーキー、ヨハン・クライフ。若き天才に率いられたチームはオランダリーグを制覇し、バロンドール等の賞を獲得。1973年にはFC BARCELONAに移籍し、翌年のワールドカップ・ドイツ大会では準優勝獲得。「ナランハ・メカニカ」という神話的名声で呼ばれましたが、同選手はオランダにて監督として再スタート。そして1988年から1996年まで再びFC BARCELONAにて、今度は監督としてベンチで采配を取りました。

 ヨハン・クライフはその後もバルセロナのフロントでGMとして、ファーム育成の仕事に専念しながら、バルセロナは勿論、スペインのサッカーに大きな影響を与えてきました。クライフによって普及されたオランダ式管理サッカー理論は、その後もスペインで進化して細部のセオリーが改善、改良されながら現在に至る訳です。

 つまり今大会は優れたグループ戦術の前に、スタープレヤー依存のチームは勝てない。それは正に「タレントサッカーの時代は終わり」を示唆する大会でもありました。同じサッカー理論の対決となった。

 2010年W杯決勝戦はまるで映画「スターウォーズ」の様に、親と息子の真剣勝負にも見え、最終的に個人技レベルの高かった息子が勝利を獲得したことになります。つまりグループ戦術と個人戦術をミックスしたスペインの優勝です。

 決勝点をFC BARCELONAファーム出身のアンドレス・イニエスタがゴールしたのも、このセオリーの正当性を象徴する出来事とも言えるでしょう。スペイン代表によるW杯の活躍は、いつもエゴイスティックに色々な考え、バラバラな行動をするスペイン人が選手も関係者も国民も一丸となって応援支援した「国民団結の動き」に発展。通常サッカーを嫌う人たちも一転して、スペインの至る所に赤と黄色の国旗が飾られ、お盆と正月が一緒に来た様な幸福感を共有していました。

 またサッカーを宗教的に愛する人たちは、泣いて、泣いて、これで成仏できると……。また今は亡き家族や友人に、この勝利を捧げているのも印象的でした。

 大会前からマスメディアは優勝するぞ、という意気込みがありましたが、その期待に答えた選手が偉大に見えました。スペイン人は誇り高いのでこれでまたハナダカでしょう。とにかくW杯優勝おめでとう。

(以上)

 いかがでしたか? あの試合にはこんな見所もありました。え、そんなこと知ってた? いやいや、そういわず。サッカーはすばらしいスポーツで、プレーを局地的にとらえがちですが、こういう見方をしても、面白さが広がるかもしれません。

P.S:玉乃淳情報
解説やります!
☆-第4節-
バルセロナVSヒホン
⇒9月26日-29日までJスポーツで放送。

☆FOOT
毎週金曜日の夜、60分間に凝縮された今のフットボール事情を皆様にお届けします。
ゲスト出演。世界のサッカー情報を発信します。
⇒10月1日から6日までJスポーツで放送。

※みなさん、ぜひご覧ください。

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