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Jを目指せ! by 木次成夫

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第226回「JFL⇔地域リーグ⇔県リーグ『昇格・残留・降格』の最終局面」
by 木次成夫

JFLから地域リーグへの降格、地域決勝(全国地域リーグ決勝大会、11月21日から一次ラウンド)の行方などが気になる季節になりました。中でも今季の注目は、関東地区。JFLと地域決勝の結果が、関東2部昇格を目指すチームにも「他人事ではない」状況になっています。

●11月14日
JFL後期15節
栃木ウーヴァ 2-2 松本山雅

後期14節終了時点で、ウーヴァは16位のジェフリザーブズと同勝ち点の17位、対する山雅は4位のホンダと勝ち点差7の4位。ウーヴァは降格圏回避、山雅は「4位以内」に向けて、絶対に負けられない試合でした。

≪得点経過≫
1分 1-0 (得点:ウーヴァ=MF前田和也、26歳、前・山形、佐野日大高校卒)
17分 1-1(得点:山雅=MF木村勝太、22歳、前・甲府)
58分 2-1(得点:ウーヴァ=FW高橋駿太、21歳、前・山形、元U-18日本代表)
59分 2-2(得点:山雅=FW木島徹也、27歳、前MIOびわこ草津)

[試合総括]
ウーヴァの強さと脆さが如実に表れた試合でした。2得点は流れの中で完全に崩した末のシュート。その一方で、失点は守備面の脆さが要因。ただ、選手たちのプレー環境を比較すれば、山雅首脳陣の中に「コストパフォーマンスという観点で、強化策は3年連続失敗に終わった」と分析する人がいても、不思議ではない内容でした。

ウーヴァ:平日夜間練習。一般勤労社会人が集まったアマチュア・チーム。
山雅:平日昼間練習。サッカーだけで生活できる報酬を得ている「プロ」は少数派ですが、仕事もしている選手の多くも契約上は「プロ」(事実上のセミプロ)で、プレー報酬を得ています。

ちなみにウーヴァと山雅の対戦は今回が4試合目。過去3試合の結果は、以下の通りです。

09年:全国社会人選手権ベスト8
山雅 1-1(PK5-3) ウーヴァ
*先制点はウーヴァ(高橋→前田の華麗なシュート)

09年:全国地域リーグ決勝大会決勝ラウンド
山雅 2-1 ウーヴァ
*先制点はウーヴァ(前田の華麗なシュート)

10年、JFL前期5節
山雅:2-3 ウーヴァ
*山雅は2点先制しながら、逆転負け。決勝点は前田の華麗なシュート

通算で山雅の2勝1敗1分。内容的には大した差はナシ。ちなみに、今回のスタメンのうち、今季加入選手は山雅=7人、ウーヴァ=3人。つまり、山雅は相対的大補強の成果を見せつけることができなかったことになります。

「チーム強化は難しい」あるいは、「それがサッカーの難しさであり、面白さ」とは言えます。とはいえ、常識的に考えれば、強化責任者は解任されるか、辞任するのが『プロのケジメ』だとも、思います。今季はウーヴァだけでなく、『全員アマチュア』チームとの成績が芳しくありません。例えば、アルテ高崎と2引き分け、ジェフリザーブズとホンダロックに1勝1敗。カウンター攻撃を好む一方、カウンター攻撃に脆いのが、その要因ですが……。

[Jリーグ←JFL]
後期15節終了時点の順位は以下の通り。

1位:ガイナーレ鳥取(74)
2位:SAGAWA SHIGA(60、+34)
3位:町田ゼルビア(60、+28)
4位:Honda FC(55、+8)
5位:V・ファーレン長崎(50、+12)
6位:松本山雅(49、+7)

≪山雅が4位になるための条件≫
山雅=2勝、Honda=2敗、長崎=1勝1分け以下

次節(後期17節、11月21日)、山雅はホームでガイナーレ鳥取と対戦します。是非、『JFLベストサポーター賞』獲得を目指してほしいものです。

[JFL⇔地域リーグ]
Jリーグ参入が1チーム(ガイナーレ)の場合、JFL18位が地域リーグに自動降格し、同17位と地域決勝3位が入替戦をします(よもやJリーグ参入が0チームの場合は、18位と17位が自動降格で、16位が入替戦)。降格する可能性があるのは、アルテ高崎(15位)以下の4チーム(JFL後期15節終了時時点の15位から18位)。すべて『関東リーグへの降格』となります。

15位:アルテ高崎(29、-21)
16位:栃木ウーヴァ(27、-37)
17位:ジェフリザーブズ(26、-25)
18位:流通経済大学FC(19、-43)

[関東リーグ⇔都県リーグ]
去る14日、関東2部昇格を争う関東社会人選手権決勝が行われました。横浜猛蹴(神奈川県1部2位)と、JFA優遇措置で地域決勝にも出場するSC相模原(神奈川1部優勝)が対戦し、2-2(PK6-5)で横浜猛蹴が勝利。地域決勝でJFL昇格を逃した際の『保険』として関東2部昇格も目指している相模原からすれば、痛恨の敗北です。

JFLから関東リーグへの降格が0チームのシーズンは、上位2チームが関東2部に自動昇格する規定ですが、今季はJFLと地域決勝の結果しだい。例えば、Jリーグ参入が1チームの場合――、

①JFLから2チームが降格しても、地域決勝出場2チーム(YSCC、さいたまSC)が共にJFL昇格を果たせば、関東リーグのチーム数は「プラス・マイナス・ゼロ」→横浜猛蹴と相模原は関東2部に自動昇格。

②JFLから1チーム降格、関東リーグからJFLへの昇格ナシ(あるいは、JFLから2チーム降格、さいたまSCかYSCCのいずれか1チームが昇格の場合→横浜猛蹴は関東2部に自動昇格。相模原は関東2部6位(SGシステム)と入替戦。

③JFLから2チーム降格、関東リーグからJFLへの昇格なし→横浜猛蹴は関東2部6位、相模原は関東2部5位(エリース東京)と、それぞれ入替戦。

いずれにせよ、関係チームにとっては『長いシーズン』になる可能性があります。見方を変えれば、「JFL以下は日本の末端リーグまでリンクしている」からこそ経験できる、サッカーの醍醐味。下への降格がないJ2では絶対に味わえない魅力とも言えますが……。

[写真]栃木ウーヴァMF前田和也(右)と山雅CB飯田真輝の攻防。ウーヴァは後期からユニフォームの胸にスポンサーがついた

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