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Jを目指せ! by 木次成夫

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第227回「地域決勝・特別編 激戦区『C組の3日間』第1日目」
by 木次成夫

どこに行こうか思案した結果、4チーム中3チームが「Jリーグを目指している」Cグループを3日間とも観ようと思い、高知県に来ました。折しも、NHK大河ドラマの影響で、坂本龍馬ブームです。

●11月21日
第1試合
福島ユナイテッド 0-1 カマタマーレ讃岐

≪得点経過≫
18分 0-1(得点:岡本秀雄、26歳、前・徳島)
*右サイドをドルブル突破し、福島ユナイテッド(以下、福島Uと略)守備陣を振り切って、的確にシュート。

[試合総括]
早い段階で得点を決めると、その後が戦いやすくなる(逆も、しかり)という観点で『手本』のような試合でした。シュート本数、福島=3本(うち前半=2本)、カマタマーレ讃岐=7本(うち前半=3本)。福島Uは失点後、攻勢を続ける時間帯もあったものの、カマタマーレの組織的かつ闘志あふれる守備を崩すことが出来ず。例えば、サイドアタック、ポストプレー、ドリブル突破など、全体的に中途半端だったという印象です。

≪経験の差≫
福島Uが地域決勝初出場なのに対して、カマタマーレは08年大会以来2年ぶり。MF吉澤侑哉(24歳=加入3年目、前・鹿島)、MF綱田大志(26歳=加入4年目、前・鹿屋体育大学)、DF相原央(26歳=加入4年目、前・静岡産業大学)ら当時からのメンバーに、かつてバンディオンセ神戸(加古川)で地域決勝を経験したCB神崎亮佑(28歳=加入2年目)、右SB下松裕(30歳、主将=加入2年目)らが加わったのは、チームとして大きな武器だと思いました。

福島Uにもバンディなどで地域決勝を経験した選手はいますが、チーム全体としては「初めて」という選手が主流。見方を変えれば、地域決勝“初心者”ゆえの開き直りに期待したいところです。

≪カマタマーレ“ほぼ”ホーム≫
香川県高松市が本拠のカマタマーレからすれば、“ほぼ”ホーム。「高松から高知までは車で約2時間半です」(カマタマーレ関係者)。去る10月の全社(全国社会人選手権)で優勝したことで注目度が高まった面もあるのでしょうが、一見して120~130人以上のカマタマーレ・ファンが観戦に訪れました。対する福島Uは、福島市から高知までバスで往復する観戦ツアーに参加したファンを含めて、一見して30人以上。それでも、去る10月の全社
(全国社会人選手権)と比べると、数倍増です。

第2試合
長野パルセイロ 4-1 さいたまSC

≪得点経過≫
10分 0-1(得点=さいたま:MF清水大輔、24歳、前・流通経済大学柏高校)
*きっかけはパルセイロのクリアミス。工藤順平→清水ドルブル・シュート

44分 1-1(得点=パル:FW藤田信、26歳、前フォルヴォローザ石川・白山)
*MF土橋宏由樹が右先方へ流し→右SB高野耕平がクロス→藤田がファーサイドでヘディング

47分 1-2(得点=パル:MF栗原明洋、25歳、前・新潟))
*大橋良隆→宇野沢祐次が中央後方へ落とし→栗原が落ち着いてシュート

59分 1-3(得点=パル:CB大島嵩弘、22歳、前。柏)
*CKからの、こぼれ球を押し込む

67分 1-4(得点=パル:FW藤田信)
*藤田がドリブル突破でPKをとり、自ら落ち着いて決める
 
[試合総括]
試合後、パルセイロの薩川了洋監督は「最悪の出来だった」と語りました。そして、右SBでプレーした高野耕平は「今季で一番悪かった」と――。

実際、パルセイロの出来は良くなかったです。特に前半は、パス・ミスは多い上に、流動的なパスワークの気配すらナシ。去る10月の全社(全国社会人選手権)も不調でしたが、プレーぶりは改善するどころか、悪化。どちらかというと、時に『人もボールも“あまり”動かないサッカー』、時に「人もボールも“単純に”動くサッカー」でした。
 
パルセイロがリズムを取り戻し始めたのは、土橋→高野→藤田とつないで、同点に追いついてから。いわゆる「3人目の動き」ができれば、さいたまSCの組織的かつ勤勉な動きを崩せることがわかったということでしょうか、その後は徐々にチャンスを演出。後半は土橋を右MFから定位置のボランチに下げ、土橋経由のパスワークがメインに。

とはいえ、守備ライン突破を一発で狙うパスが目立ち、持ち前のコンビネーションは“ほぼ”観られませんでしたが……。

ちなみに、土橋を右MFで起用したのは、佐藤大典のコンディションが万全ではなかったためです。また、高野が右SBでプレーしたのは、野澤健一が累積警告で出場停止ゆえ。

薩川監督は、地域決勝は選手たちにとっては、「生き残りを賭けた大会」だとも語りました。つまり、チームがJFL昇格を果たしても、実力不足と判断された選手たちは戦力外になりかねないということです。

「例えば、カマタマーレの10番(MF吉澤侑哉)は前線でボールを取られた時、必死になって自陣に戻った。でも、うちの選手には、そうしないヤツがいる。カマタマーレに勝つには、10番以上にプレーしなければダメ。でも、俺は選手を信じているよ」(薩川監督)

[長野→高知“バスの旅”]
パルセイロは18日(木)の午前中にチャーターしたバスで長野を発ちました。「休息時間を含めて、高知まで合計で約10時間かかりました」(パルセイロ関係者)。バス移動で経費削減する一方で、早目に高知に入って、調整したわけです。

観戦ツアーもバス移動で、独自に高知入りしたファンを含めると、この試合、合計で一見して50人以上。パルセイロとしては「多い」と思いました。

「全社の後、山口から長野までバスで帰った時に比べると、楽でした」(パルセイロ選手の1人)

ちなみに、福島Uは福島から東京までバスで移動して、その後は羽田から飛行機を利用したそうです。

長野県にも福島県にも空港があり、新幹線が通っているのですが……。

[写真]パルセイロ・ファンと紅葉

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