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Jを目指せ! by 木次成夫

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第228回「地域決勝・特別編 激戦区『C組の3日間』第2日目」
by 木次成夫

高知市は相対的に温暖な地域なのですが、あいにくの雨。平日ということも影響してか、2試合とも観客数は、わずか100人(公式発表)。どうしても四国で開催したいなら、香川県で開催した方が、はるかに盛り上がっただろうに――。

●11月22日
第1試合
福島ユナイテッド 0-0(PK7-8) 長野パルセイロ

[試合総括]
全社(全国社会人選手権)準決勝で対戦した際は、2-4で福島が敗北しました。お互いに地域決勝出場権を得ている状況での対戦だったので、モチベーションに差があったでしょうが、そのことを差し引いても、今回は福島Uの善戦ぶりが印象的でした。惜しくも得点には至らなかったものの、流れの中での決定的チャンスは複数回。シュート本数は福島U=8本(うち前半=3本)、パルセイロ=7本(うち前半=2本)。お互いに、パスをつなぐスタイルを実践し、内容的には“ほぼ”互角でした。

「昨日(21日=対カマタマーレ戦、0-1で敗北)に比べると、内容としては良いサッカーができたと思います」(福島Uの手塚聡監督)

≪PK戦のドラマ≫
PK戦突入濃厚と見たのか、パルセイロはロスタイム(90+1分)にGKを諏訪雄大から海野剛に交代。「事前に特別なGK練習をしていたわけではありません」(海野)ということですが、この采配は当たりでした。

先蹴りはパルセイロ。まずは、パルセイロの2人目(MF土橋宏由樹)が外し、福島Uは4人目(時崎塁)が失敗。その後、9人目にパルセイロは高野耕平、福島Uは金光栄太が共に失敗。勝敗が決したのは10人目。パルセイロの大島嵩弘が決めた一方で、福島Uは青柳雅信が外してしまいました。

「酷な結果」と評すべきか、「この選手が失敗したなら仕方ない」と評すべきか? 時崎塁も青柳も、福島Uが東北2部に所属していた頃からプレーしている、いわばチームの『功労者』です。

[福島県の報道機関への疑問]
長野県と香川県からは地元マスコミが取材に訪れていますが、福島県からは0人。“Jを目指す”福島Uへの評価は、『高知へ出張するほどの価値がない』ということなのでしょう。
選手たちが、ひと晩で気持ちを切り替え、プレーを修正して、上々のサッカーを展開したにもかかわらず、『PK戦敗北、一次ラウンド敗退』という結果だけがクローズアップされるとしたら……、悲劇的だと思います。

近隣とはいえ、香川県からは、複数のTV局と新聞社が取材に来ています。そして、その報道を見た人たちが「23日は高知に行こう」と思うかもしれません。


第2試合
カマタマーレ讃岐 3-2 さいたまSC

≪得点経過≫
6分 1‐0(得点=讃岐:FW岡本秀雄、26歳、前・徳島)
*CK→ヘディング

8分 2‐0(得点=讃岐:MF綱田大志、26歳、前・鹿屋体育大学)
*DF齋藤良平(27歳、前・三菱水島FC)→綱田=ドリブルからシュート

42分 2‐1(得点=さいたま:MF大森直樹、32歳、前・浦和市立高校)
*徳島翔→清水大輔=左サイドをドルブルで上がってからパス→ダイレクト。完璧なカウンター攻撃

45分 3‐1(得点=讃岐:MF飯塚亮)
*豪快なミドル・シュート

68分 3‐2(得点=さいたま:DF鎌田雄、25歳、前・城西大学)
*CK直接ゴール

[試合総括]
前半は“これほど選手もチームは成長するのか”と驚くほど、カマタマーレが流麗なサッカーを展開しました。カウンターからの失点は、『油断』としか言いようがないですが、総体的に見ると「あれこそ、僕がやりたかったポゼッション・サッカーです」(カマタマーレの北野誠監督)

第1試合で相変わらず出来が悪いパルセイロを見たゆえに、カマタマーレ選手たちが躊躇なく走り、自信を持ってボールをコントロールする様は鮮烈でした。しかし後半は、『さいたま』も大健闘。見方を変えれば、カマタマーレは良いリズムを持続することが出来ず。

「それが、このレベルのチームの難しいところです」(北野監督)。

つまり、ムラが大きいということ。見方を変えると、全社を無失点で制したカマタマーレにとって、この日の2失点は“気持ちを引き締める”という観点で、『良い時期の良い刺激』と言えるかもしれません。
[3日目展望]
2日目終了時点の順位は以下の通り――。

1位:カマタマーレ(勝ち点6、得失点差+2)
2位:パルセイロ(5、+3)
3位:福島U(1、-1)
4位:さいたま(0、-4)

そして、3日目の対戦カードは
福島U対さいたま
カマタマーレ対パルセイロ

カマタマーレにとって、さいたまSC戦の2失点目は、ある意味『痛恨』でした。というのは、もし、2点差(以上)で勝っていれば、パルセイロ戦は「90分で引き分ければ、カマタマーレの1位が決定する」状況だったからです。逆に言えば、パルセイロにとっては、ラッキーな結果。カマタマーレに90分で勝てなくても、PK戦で勝てば、「勝ち点7」で並び、パルセイロが得失点差で「1」上回り、1位になります。

また、他会場の第1試合結果次第では、PK戦に突入すれば(90分で引き分ければ)2位になったチームも決勝ラウンド進出という状況になる可能性もあります。つまり、両監督は試合直前に戦い方を選択する必要があるかもしれません。

[写真]高知市内の繁華街。全面的に『龍馬」です

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