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Jを目指せ! by 木次成夫

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第237回 年末『福島』→年始『東京』
by 木次成夫

様々な地方を見て回っていると、「冬場も楽しめるインドアスポーツ部門も整備した方が、楽しくなるのではないか」と感じる地域があります。例えば、

・春から秋にかけては休日がないほど忙しい農業従事者が多い地域
・冬季にサッカーするのは至難な寒冷地

要は、多くの人々が余暇を持て余す時期は、クラブにとって、狙いどころ。『Jリーグを目指す』という目標は同じでも、それぞれの地域性に合ったビジョンと、サッカー競技の下部組織や他競技部門の整備などのアプローチがあってしかるべきですし――。

●1月4日
全日本少年フットサル大会

参加48チーム。駒沢体育館及び同室内競技場、1月4~6日)で開催。Jリーグクラブの下部組織、Jリーグを目指すクラブの下部組織、子供チームだけのクラブなど様々。中には全員が女子選手のチームもありました。フットサルの見方(楽しみ方)は人様々でしょうが、「大人の大会よりも面白いかもしれない」と思ったほどです。

コートの狭さが『体力の無さ』をカバーする一方で、フルコートのサッカーよりも相手が近くにいるため、スピーディ―な競り合いの連続。コートの狭さと、小学生の能力(フィジカル、テクニック、状況判断)のバランスが『ピッタリ合っている』という感じでした。
スペースが空きすぎて、間延びすることは皆無。いわば、魅力を最大限にクローズアップできる『絶妙な空間』。その上、男女混合チームや女子チームも遜色なく戦えるギリギリの世代。シュートなど決定的なシーンも相対的に多いため、観戦素人も楽しさを理解しやすい。つまり、サッカーの魅力を理解するための『入門』として最適かも――。実際、選手の祖父母と思われる年配の人たちの多くが、熱くなっていました。

是非、フットサル部門のない「寒冷地から上を目指すクラブ」ファンの方々には検討してほしいです。当たり前のことですが、フットサルはフルコートのサッカーのトレーニングにもなるので、一石二鳥も狙えます。参考に、印象に残った2チームを以下に――。

ヴァンラーレ八戸(青森県)
*総合スポーツクラブを志向しており、運営会社は室内フットサル場を保有。サッカーのトップチームは東北2部北ブロック所属。昨年はリーグ2位で1部昇格を逃したものも、天皇杯では1回戦で順天堂大学に善戦惜敗。今大会に出場したU-12チームは、シュートを積極的に打つなど攻撃的なスタイルが印象的でした。将来が楽しみです。

丸岡ラックガールズ(福井県)
*参加唯一の女子チーム。4日の一次ラウンド(4チームのリーグ戦)では、男子チームに5-4で勝利する快挙達成。スピードで男子には及ばない面もありましたが、ポジショニング、“寄せ”のタイミング、足裏を使ったボールキープなど、観ていて『サプライズの連続』。さすがは、高校サッカーでは有名な丸岡(町)――。

●10年12月28日
福島ユナイテッド新体制記者会見

昨年末のことですが、福島市内で福島ユナイテッド(以下、福島Uと略)の『新体制記者会見』があったので、行ってきました。会見したのは、以下の2人(敬称略)。

株式会社AC福島ユナイテッド設立発起人代表
後藤忠久
(株)後藤歯科商店代表取締役社長
「Jリーグチームを福島県につくる会」会長
福島商工会議所副会頭
福島市商店街連合会会長

株式会社フクシマスポーツマネジメント代表取締役社長
横田篤

≪会見要旨≫
・福島Uの運営は、2011年2月にフクシマスポーツマネジメントからAC福島ユナイテッドという新会社に移譲される予定。

・新会社名のACは、アスリート・クラブの略。サッカー以外の競技も考慮した名称。

・02年に任意団体「福島夢集団」を設立して以降、クラブを運営してきた横田篤氏は新会社には加わらない。

・新会社の設立は2011年1月中をメドにしている。記者会見で配布されたリリース資料によると、発起人は後藤氏の他、以下の5人。

蒲原達也:福島リコピー販売(株)代表呂取締役
鈴木暁夫:(株)ビックマーク 代表取締役
鈴木宏幸:(株)社設計 代表取締役
鈴木勇人:(有)鈴木設計 代表取締役

・福島市だけではなく、福島県全体を意識した活動をしていく。その一環として、2011年シーズンは東北リーグ1部の公式戦や親善試合を福島市以外で開催することを考えている。

以上。記者会見は約30分間。トップチーム編成(選手数、プロかアマチュアかなどの待遇)に関して、具体的な発表はナシ。とはいえ、何の発表もせずに新年を迎えるよりは、はるかに意義があるとは思いました。

≪新体制の意義≫
福島Uは昨年、シーズン中にクラブ運営に関する『緊急事態宣言』をしました。要は、「金が足りないので支援してください」ということ。運営会社の社長である横田氏が新会社に関わらないのは、経営責任者としてケジメをつけたということかもしれません。また、大学卒業後に就職するまでは福島県に縁がなかった横田氏よりは、福島県に根付いた財界人がクラブを運営した方が、スポンサーなどの理解を得やすいという判断をしたのかもしれません。

いずれにせよ、『JFLに最も近い』とも言えるチームですから、今年も注目していきたいと思います。

[写真]ヴァンラーレ八戸FC U-12(全日本少年フットサル大会にて、1月4日)

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