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Jを目指せ! by 木次成夫

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238回 松本山雅「超大型補強」進行中
by 木次成夫

昨季、松本山雅は「4位と勝ち点差7」の7位でした。下位チームに「取りこぼし」をしたことが、4位以内を逃した大きな要因です。例えば、アルテ高崎(17位)に2引き分け、ジェフリザーブズ(16位)に1勝1敗、栃木ウーヴァ(15位)に1分1敗。もし、この“アマチュア”3チームに全勝していれば、勝ち点は『+12』。余裕でJリーグ参入条件をクリアできていたわけです。

●1月11日
松田直樹加入記者会見

開催地は都内のホテルで、出席したのは松田直樹(33歳、前・横浜F・マリノス)の他、山雅運営会社の代表取締役社長(大月弘士氏)とGM(加藤善之氏)。3人が語ったことを抜粋して大雑把にまとめると、JFL史上稀に見る大物の移籍プロセスは、以下のようになります。

「今季の補強ポイントはFW、ボランチ、CB、GK。縦のラインを重点的に、ある程度経験のある、実績のある選手を補強したいと考えていました」(GM)。

「(松田ほど偉大な選手にJFLの山雅が)オファーを出すことは大変僭越ではあったと思いますが……」(社長)。

「12月中旬に正式にオファーさせていただきました」(GM)
「松本山雅が最初に手を挙げてくれました」(松田)

ちなみに、サポーター主催の退団選手送別会は12月19日でした。

「(松田は)12月29日、松本(市)に、お見えになり、(ホーム競技場の)アルウィンや練習環境等を見て……」(社長)

「(アルウィンは)サポーターと一体になれるスタジアムだと感じました。スタジアムの印象は、すごく強いです」(松田)

「(松田から)12月31日の夜10時、私宛に電話がかかってきて『お世話になることに決めました』と……」(社長)。

「社長の熱意は、嬉しかったです」(松田)。
「(目標は)まずJ2、その次はJ1です」(松田)

松田がチームに合流するのは練習初日の17日予定。まずは、『単身赴任』となるそうですが、同じ群馬県出身の吉澤英生監督には、「まだ会ったことがないです」(松田)。

●1月12日
松本山雅セレクション

参加のアクセスを考慮して、東京のアミノバイタル・フィールド(味の素スタジアムの隣り)で開催。参加選手は59人(山雅クラブ関係者)。そのうち、来日したと思われる韓国人選手が10人程度。その他、顔と名前が一致した選手を以下に何人か挙げると――、

MIOびわこ草津:DF大久保悟(23歳、前・大阪教育大学)、FW坂本晃司(23歳、前・関西大学)

ジェフリザーブズ:MF佐藤悠希(22歳、前・関西大学)、福田健(24歳、前・流通経済大学)、柳明基(23歳、前・流通経済大学)
*福田は昨季前期(ジェフホーム)の山雅戦で得点を決めた選手です(1-0でジェフリザの勝利)。

V・ファーレン長崎:FW佐藤陽介(27歳、前FC青山)

セレクションは11対11の紅白戦形式で行われました。その後、GK(6人)だけ集めて、クロスボールのキャッチング→キックなどのトレーニングも実施。いわば、実地試験です。GKは補強重点ポイントのひとつゆえ、じっくりと見ようという狙いだったのでしょう。

●昇格2年目の大リストラ

山雅は現在、「超大型補強」を進行中です。昨季途中に期限付き移籍し、今季、完全移籍した2人を含めると、1月12日時点の補強状況は、以下の通り――。

≪期限付き移籍→完全移籍≫
MF弦巻健人(23歳、前・東京V。期限付き移籍→完全移籍)
CB飯田真輝(25歳、前・東京V。期限付き移籍→完全移籍)

≪新加入≫
FW木島良輔(31歳、前・町田ゼルビア←熊本、など)
FW塩沢勝吾(28歳、前・佐川印刷←水戸)
FW片山真人(26歳、前・水戸←岐阜←山雅←近畿大学)
MF久富賢(20歳、前・横浜FC)
MF宮田直樹(23歳、ファジアーノ岡山から期限付き移籍)
MF渡辺匠(28歳、前・熊本)
CB松田直樹(33歳、前・横浜F・マリノス)

コーチ:柴田峡(前・流通経済大学FC監督)
GKコーチ:本間康貴(前・鳥栖GKコーチ)

昨季まで孤軍奮闘だった吉澤英生監督にとって、コーチが就いたことは心強いでしょうが、セレクション当日段階で「今年に入ってから、電話で話したことはありますが、まだ、会ったことは、ありません」とか――。

[大補強路線への危惧]
才能のある選手はプロとしてサッカーに専念し、才能が足りない選手は「仕事と両立」する図式は、言うまでもなく、後者に不利です。公式戦とは別に練習試合を組めば、バックアッパーのレベルアップを促進できるでしょうが、「仕事と両立」選手が多いチームでは、平日に練習試合を組むことも至難。また、プロ・アマ問わず、ベンチ入りできない選手たちは、試合当日、ファンサービス・イベント参加や、試合運営補助の『仕事』があります。

そんな環境で、「結果がすべて」、「成長が遅い」という評価を下し、新たにプロを雇う補強策を選択したら、選手たちは、どう思うでしょうか? Jリーガーから「仕事と両立」という選択をした選手を含めて、モチベーションは低下してしまうかもしれません。

もちろん、毎年、即戦力獲得を続ければ、チーム力を維持することは可能でしょうし、Jリーグ(プロ・リーグ)に参入すればクリアできる問題ですが……。
 
[補強重点ポジションの若手たち]
CB多々良敦斗(23歳=昨季加入、前・静岡産業大学←清水東高校)
CB佐藤由将(23歳=昨季加入、前・国士館大学←横浜F・マリノス・ユース)
ボランチ小松憲太(23歳=昨季加入、前・東海学園大学←都市大塩尻高校)
GK石川扶(26歳=09年加入、前FC刈谷←アローズ北陸←桐蔭横浜大学)

4人とも昨季は勤労戦士。石川は正GKの座を奪取した他、ファンへの対応の良さも際立っていました。

『負けるな、4人!』

[写真]松田直樹、1月11日の松本山雅加入記者会見
山雅セレクションの模様

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