beacon

Jを目指せ! by 木次成夫

このエントリーをはてなブックマークに追加

243回 西日本社会人サッカー大会
by 木次成夫

2月12日と13日、大阪府堺市のJ-GREEN堺(堺市立NTC=ナショナル・トレーニング・センター)で「第30回 西日本社会人サッカー大会」が開催されました。西日本(関西、中国、四国、九州)の各地域リーグから2チーム(原則的には前年度の1位と2位)ずつ、計8チームが集う大会です。

今大会は当初、11日から3日間の予定でしたが、雪の影響で初日は中止。12日と13日の2日間だけの開催になりました。

≪参加チーム≫
三洋電機洲本(関西1位)
アイン食品(関西2位)
レノファ山口(中国1位)
デッツォーラ島根(中国2位)
カマタマーレ讃岐(四国1位)
南国高知FC(四国4位)
HOYO AC ELAN(九州1位)
ヴォルカ鹿児島(九州2位)

≪12日の結果≫
レノファ 0-0(PK7-6)ヴォルカ
*敗れたものの、ヴォルカは新加入FW栗山裕貴(写真=右側、22歳、前・三菱重工長崎←松本山雅←サガン鳥栖←ルーテル学院高校)が『場違い』と思うほど、際立ったプレーを披露しました。今季で高卒5年目。Jリーガーから、『仕事との両立』になった後も、成長しています。フィジカル面でも逞しくなりました。

南国高知 0-1 三洋洲本
HOYO 1-1(PK4-5)アイン
デッツォーラ 0-5 カマタマーレ

≪13日の結果≫
レノファ 1-0 三洋洲本
*レノファは絶対的主力の攻撃的MF福原康太とSB安田忠巨が負傷で2試合とも欠場。2人の重要性を再認識しました。

アイン 1-2 カマタマーレ
ヴォルカ 0-1 南国高知
HOYO 3-0 デッツォーラ

[カマタマーレへの期待]
2戦2勝ながら、2戦ともスタメン出場したのは2人のみ。JFL開幕に向けた強化試合として臨んだのでしょう。2試合見た限り、昨季までの蓄積を活かしつつ、スケールアップしたサッカーが期待できそうです。

フォーメーションは2試合とも3-3-3-1。

「JFLで戦っていくには最も良いと考えました。今年は面白いサッカーができると思います」(北野監督)。

基本的な狙いは、おそらく以下の2点――。
①ハイクロスなど高さに負けないDFを3人配置して、いわゆる『放り込み』に対処。
②4-4-2だった昨季以上に豊富な運動量とスピーディなパスワーク

開幕から約1カ月前としては、選手のキレが良いのが印象的でした。その一方で、チーム作りの初期段階ゆえ当然とも言えますが、攻守のバランスはイマイチ。デッツォーラ戦では大勝したものの、最終ラインをパスで完璧に崩されることも、ありました。

ただ、リズムに乗った時のスピーディかつスムーズなパスワークは、「この選手たちで、ここまで、できるのか」と感動したほど。今後の熟成しだいでは、JFL随一の『魅せるサッカー』も実現可能だと思いました。

一般的に3バックのフォーメーションでカギを握るのは、DFの前のサイドMFです。簡単に言えば、「サイドバックとサイトアタッカーを両方やれ!」と指示されているようなものですから。後方へスライドして4バックを形成することも重要な仕事ですし、攻撃参加してラストパスを出すことも要求されます。試合の流れを読んで、的確なポジションをとるセンスも問われます。

ちなみに、デッツォーラ戦は、

右MF:雨羽良輔(27歳=新加入、前ソニー仙台)
左MF:下松裕(30歳=加入3年目、前・バンディオンセ加古川)

突破力が武器の天羽、バランス感覚に長けた下松――。今後の熟成が楽しみです。

≪セレクションの成果≫
新加入選手は11人(2月15日時点)。うち、昨季までJリーガーだったのは、以下の2人のみ。

FW西野泰正(28歳、前・京都)
FW石田英之(28歳、前・富山)

他9人は全員、昨年12月に開催したセレクションに参加した選手です。

FW新保總太朗(22歳、前・関西大学)
*180㎝、左利き。デッツォーラ戦で2得点

FW坂井優介(25歳、前MIOびわこ草津)
MF荒維大地(22歳、前・神戸国際大学)
DF鈴木祐輔(28歳、前・町田ゼルビア)
DF大島翼(27歳、前・松本山雅)
DF野口遼太(24歳、前ヴォルティス・セカンド)
DF雨羽良輔(27歳、前ソニー仙台)
GK瀬口拓弥(22歳、前・流通経済大学)
GK滝裕徳(24歳、前ファジアーノ岡山ネクスト)

バランスが良い補強ができたと思います。中でも坂井、野口、天羽らサイドアタックが得意な選手がセレクションに参加していたのは、幸い。昨季途中に町田ゼルビアから期限付き移籍し、今季完全移籍した飯塚亮を含め、サイドの層が厚くなりました。大学卒(予定)選手の補強は、来季以降に向けた『ルート作り』という観点でも重要です。もちろん、多数の選手がセレクションで合格した実績は、来季以降の受験者たちに好イメージを与えるでしょう。

ちなみに野口は本来、左SBながら、アイン食品戦に攻撃的ポジションで先発。豪快な左足シュートで1得点、決めました。香川県出身ゆえ、周囲の期待も大きいようです。

≪試合後は別料金を払って練習≫
今大会の参加費は1チーム5万円。2日間ともカマタマーレは試合後、NTC内のフットサル場を借りて、練習をしました。大会運営サイドが練習場を用意してくれるわけではないため、独自に申し込みをして、使用料金も払って――。トラップ&パスの練習がメインで、北野監督が再三「もっと速く」と指示しているのが印象的でした。

≪Jリーグ準加盟≫
2月15日、Jリーグ準加盟申請をしていたカマタマーレ、ツエーゲン金沢、FC琉球の3クラブの中で、カマタマーレだけが準加盟を承認されました。周囲の期待は高まるでしょうが、まずは北野監督が目指す「面白いサッカー」を披露してほしいです。

[写真]ヴォルカ鹿児島FW栗山裕貴(右)とレノファ山口MF田村隆生(前・福島ユナイテッド)の攻防

※感想やあなたの応援する“J未満”チームの情報をこちらまでお寄せください。

TOP