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Jを目指せ! by 木次成夫

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245回 JFL展望その2 松本山雅
by 木次成夫

山雅は昨季7位。JFL昇格2年目に向けて、大リストラを敢行した一方で、松田直樹(33歳、前・横浜Fマリノス)などを獲得しました。新加入選手は8人。メンバー総勢23人のうち、13人が元Jリーガーで、1人がJリーグ・クラブから期限付き移籍。今やJFL随一の「スター軍団」になりました。

●2月26日
練習試合
松本山雅 8-1 山梨学院大学

会場は甲府市内にある山梨学院大学附属高校グラウンド(人工芝)。45分×3本の形式で行われ、山雅が大勝。補強の成果が顕著に出た面もありますが、熟成不足のプレーも散見。注目の松田はストレッチなど軽い準備運動をしたものの、試合には出場しませんでした。

≪得点経過≫
1本目 6-0(得点:木島良輔X3、木島徹也X2、弦巻健人)
2本目 0-1
3本目 2-0(得点:木村勝太X2)

フォーメーションは3本とも4-4-2で、中盤はダイヤモンド型。

≪1本目~2本目途中≫
GK:白井裕人(22歳=今季加入、前・流通経済大学)→2本目=山本剛(26歳、前MIOびわこ草津)
右SB:鐡戸裕史(28歳、前・鳥栖)
CB:飯田真輝(25歳、前・東京V、昨季途中に期限付き移籍→今季、完全移籍)
CB:多々良敦斗(23歳、前・静岡産業大学)
左SB:阿部琢久哉(26歳、前TDK←駒澤大学)
右MF:須藤右介(24歳、前・横浜FC)
アンカー:渡辺匠(28歳=今季加入、前・熊本)
左MF:北村隆二(29歳、前・岐阜)
トップ下:弦巻健人(23歳、前・東京V、昨季途中に期限付き移籍→今季、完全移籍)
FW:木島良輔(31歳=今季加入、前・町田ゼルビア)
FW:木島徹也(27歳、前・沖縄かりゆし)

[総評]
木島兄弟のスピードを存分に活かし、パスセンスに長けた弦巻が攻撃の最終局面にバリエーションを付ける――。端的にいえば、『8人で守って、3人で攻めるサッカー』でした。

ただ、大量点を奪えたのは、山梨学院大学のDFラインが高く、選手たちが果敢にしかけてきたのも要因です。前線の個人能力を活かした『リアクション・サッカー』がパワーアップしたという見方はできると思います。ただ、守備重視で“引いた”相手と対戦した場合の打開策は、ファールを誘ってセットプレーで得点を狙うパターン以外に、イメージできませんでした。

≪2本目途中~3本目≫
GK:山本→3本目=石川扶(26歳、前FC刈谷)
右SB:玉林睦実(26歳、前・岡山)
CB佐藤由将(23歳、前・国士館大学)
CB多々良→飯田
左SB:小松憲太(23歳、前・東海学園大学)
右MF:今井昌太(26歳、前・びわこ成蹊スポーツ大学)
アンカー:宮田直樹(23歳、岡山から期限付き移籍)
左MF:久富賢(20歳、前・横浜FC)
トップ下:木村勝太(22歳、前・甲府)
FW:塩沢勝吾(28歳、前・佐川印刷)
FW:片山真人(26歳、前・水戸)

[総評]
ボランチが本職で、右利きの小松が左SB。右サイドからのアタックが得意な久富が左MF。左サイドでのプレーが得意な選手不在の布陣で臨んだため、致し方ない面もあったでしょうが、期待感が高まる内容ではありませんでした。試合後、吉澤英生監督も「(選手たちは)何を考えているのか」と不満を口にしたほどです。

最も気になったのは、ヘディングが際立って強い塩沢(09年JFL得点王)を活かす形を、ほぼ作れなかったこと。木島兄弟+弦巻の『トライアングル』とは違った攻撃パターンを熟成することは、必須事項だと思うのですが……。

[信州ダービーに向けて]
山雅対長野パルセイロは、前期8節、4月30日。過去の実績と現在の勢いを考慮すれば、JFL最多の観客数が期待できるカードです。幸いにも前日の29日は祭日。是非、『前夜祭』など、様々な企画で盛り上げてほしいものです。例えば、

①09年シーズンの両チームを追ったドキュメント映画『クラシコ』放映
②両チームの主将と監督、ファンのバトルトーク
③「GWは故郷に帰ろう」キャンペーン
④山雅社長(本業は酒類販売)全面協力「飲んで語り合う世界標準のサッカー三昧」キャンペーン(7節までの成績が良くなかった場合は、ヤケ酒X杯無料サービス)

……とか、いかがでしょう?

[そもそも地域活性化とは?]
山梨学院戦後、松本市内の『まるちゃん』という焼鳥屋に行きました。山雅ファンにとっては聖地のような存在で、映画『クラシコ』にも登場しています。シーズンが始まれば、多くの“一見さん”ファンも訪れるのかもしれませんが、この日は、土曜日夜にもかかわらず、客はヒトケタ。不況の影響も大きいでしょうが……。

そこで、ふと思いました。例えば、後援会費、ユニフォームやグッズ購入などを優先して、飲み代(外食代)を抑えるファンがいても、不思議ではありません。とはいえ、クラブが潤って、Jリーグ参入を果たしても、町が寂れたら、本末転倒。言い方をかえると、町とクラブがバランス良く発展し、アウェー・ファンも行きたくなる『サッカークラブのある町』を作ることが大事。金が地元に落ちてこその、地域活性化ですから――。

「車で自宅とアルウィンを往復するだけでは、町に金が落ちない。それじゃあ、あまり意味がないんだよね」(昨季、アルウィンを訪れたJリーグ関係者のコメント)

今季の山雅は就職前、学生最終学年のようなものです。志望先(Jリーグ)が、『夢の世界』とは限りません。そして、留年(JFL残留)しない限り、残された時間は、限られています。とすれば、最後の学生生活を謳歌するのと同様のノリで、例年よりもハイペースで夢を語り合い、誰も明示してくれない『Jリーグ参入後のビジョン』を模索するのも、楽しいことでは? 「とりあえず、ビール」だけでも、地域貢献できますし――。

[写真]木島良輔(奥)と談笑する松田直樹。右ヒザが気になります

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